小倉康之監修『ビジネスエリートのための!リベラルアーツ西洋美術』(すばる舎)
https://www.subarusya.jp/book/b547922.html
今年最後の読書は「美術教養主義宣言!」だ。
「ここで学ぶことは、あなたがたが社会に出るにあたり、直接的には何も役に立ちません」。
こう言い切る著者は、「役に立つ」「役に立たない」の価値基準に異を唱える。絵画や小説などの「役に立たない文化を作り上げてきたのは人類だけなのです。つまりそれらは、人類を他の動物と分かつものと言うことができます。役に立たないことをする点にこそ、私たちが人間である所以があるのではないでしょうか」。
教養主義はスノビズムではなく、異文化を理解するための手がかりであり、国際人になるには必須である。美術は「心に効く薬」あるいは「心のサプリメント」である。それゆえ著者は「美術教養主義!」を宣言する。
宣伝文句は次の通り。
<『ビジネスエリートのための!リベラルアーツ 哲学』の続編。これ1冊で、アートの見方がみるみるわかります!いざ美術全集を手に取っても年代順に作品を眺めるだけではサッパリ楽しめないアートの世界観。それもそのはず、アートを楽しむには「なぜこの作品が生まれたのか」……当時の政治や宗教、社会情勢、作品を形作る技法やテーマ、経済的な事情など、さまざまな背景とセットで見ることが近道なのです。ルネサンスなどのメジャーな作品から難解と思われがちな現代美術まで、初心者にもわかりやすい切り口で、作品の見方を紹介。全ページカラー、西洋美術図版約100点。>
目次
Prologue 美術教養主義宣言!
Chapter1 一枚の絵からわかること
Chapter2 アートとお金
Chapter3 アートと社会
Chapter4 私たちの暮らしとアート
Chapter5 鑑賞のための手引き
Chapter6 知っておきたいテーマ
Chapter7 アートの歴史を駆け足で
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小倉康之監修・執筆で、他に執筆者は池上英洋、藤井匡、川口清香。小倉は西洋美術史研究、池上は西洋美術史・文化史、藤井は学芸員で主に現代日本彫刻研究、川口はフリーライター、編集者。池上と藤井は同僚であり、彼らの著書を何冊も読んできた。専門書を読みこなす能力は私にはないが、一般向けの著書は愉しく読める。