Monday, December 07, 2020

ヘイト・クライム禁止法(189)コロンビア

コロンビアがCERDに提出した報告書(CERD/C/COL/17-19. 14 November 2018)

2011年の法律1482号は、人種、民族、宗教、国籍、政治又は哲学的イデオロギー、性別又は性的志向、若しくは障害を理由に差別した者に刑事罰を科す。2015年の法律1752号によって修正され、障害者に対する差別も処罰理由に加えた。

人種主義又は人種差別の定義は、その人種、国籍、性別又は性的志向に基づいて人の権利の完全な行使を防止、妨害又は制約する行為である。その人種、民族、宗教、国籍、政治又は哲学的イデオロギー、性別又は性的志向を考慮して、人、人の集団、コミュニティ又は人々に物理的又は心理的損害を引き起こす目的のハラスメント及び差別行為も処罰する。

この法律は、これらの行為が公然と行われた場合、マスメディアによる場合、公務員による場合、子どもや高齢者に行われた場合、又は労働権を制限する場合、社会的法的制裁をより大きなものとする刑罰加重事由としている。

検察庁は人種的理由だけに基づく犯罪について捜査及び立件数を記録している。捜査の支援、捜査の妨げとなる事情、捜査を成就させる方法について検討している。

検察庁は、人種主義、差別及びハラスメントの事案を368件処理し、うち227件が人種主義又は人種差別、141件がハラスメントである。うち9件が捜査を経て審理中であり、3件は捜査中である。5件は裁判所で審理中、1件は判決が出た。

憲法裁判所は人種差別に関する行為の訴追についての基準を示してきた。2014年の判決C-671は、障害者は法律改正以前から差別被害者となる危険があったと認定した。2015年の判決T-462は、雇用者は、民族的アイデンティティや信念を理由に懲戒権を行使できないとし、平等の権利と民族的アイデンティティの権利を保護し2017年の判決C-091は、2011年の法律1482号の下での表現の自由とヘイト・スピーチの禁止について判断した。2017年の判決T-141は、差別の立証について挙証責任の転換を論じた。挙証責任はより大きな立証能力を有する側に課される。

CERDがコロンビアに出した勧告(CERD/C/COL/CO/17-19 .22January 2020

全ての公的生活領域において直接差別と間接差別の禁止を行政法及び民事法に導入すること。移住者、HIVの移住者、LGBTIの移住者に対する差別的見解、人種憎悪、排外主義の増加に留意する。刑法が条約第4条に完全に合致していない。人種差別を助長・煽動する宣伝活動への言及がない。ヘイト・スピーチ、人種差別の煽動、人種主義表現を予防し、闘うのに効果的な措置をとること。すべての排外主義、ヘイト・スピーチ、人種差別の煽動、及び人種的動機の暴力が捜査され、責任者を訴追し、適切に処罰すること。多文化主義と人種差別撤廃のための意識啓発キャンペーンを実施すること。人種憎悪を正当化し、助長する観念の流布を犯罪とし、人種差別を助長・煽動する団体を禁止すること。