今日は新宿の紀伊國屋サザンシアターで、こまつ座の「井上ひさし生誕77フェスティバル2012」第6弾『芭蕉通夜舟』だった。
http://www.komatsuza.co.jp/contents/performance/index.html
<そのものの時めいていた過去と、
もう滅ぶしかない未来とを同時に匂わせるのです。
しかもそれをたったの十七文字でやってのけようとして、
わたしたちは骨身を削るのです。>
舞台に出る役者は5人だが、登場人物は芭蕉だけで、坂東三津五郎が演じた。一幕36景、90分の大半を一人で演じる、準一人芝居でもある。さすが坂東三津五郎とうなるしかない演技。
<日本の古典を洒落や滑稽さでもじる江戸談林俳諧の宗匠として名を馳せ、もてはやされた松尾桃青。
素人の連句の会に出向き指導をすれば出座料、できた連句に「秀逸」や「珍重」などと点をつければ点料が懐に転がり込む。正直に「稚拙」「愚劣」と点をつければ、ののしられ叩き出されて、恨みまでをかってしまう。
「こんな点者生活は、太鼓持ちとさほど違わないではないか。しかも談林派は、もじり尽くして行き詰り、果ては一日四千句と数を競う。そんなもの俳諧のたれ流し、下痢腹俳諧じゃないか」。
物静かな深川へ居を移し、談林俳諧に決別し、俳号を好きな木にちなんで「芭蕉」にかえた。そして、ひとりぼっちのわびしさ「わび」に目をつけ、そのわびしさに徹して句作を行い俳諧の革新をはかるのであった。
安住をのぞまず、托鉢僧のような乞食行脚、風に吹かれるカンナ屑・・・・。草が枕で、空行く雲が掛布団・・・・。>
<俳聖・松尾芭蕉役に、歌舞伎に止まらず、
意欲的に現代演劇に取り組んでいる
坂東三津五郎を迎え、鵜山仁が卓抜な演出の腕をふるいます。
ほぼ一人芝居『芭蕉通夜舟』
いよいよ、こまつ座初登場!!>
それでも坂東三津五郎が、一度、ほんの少しだけセリフをつかえたのに気付き、完璧すぎなくて良かった、などと思ってしまった。
脇役の4人も、黒子に徹して没個性を演出しながら、それぞれ時折、個性をチラリという名演技だ。
夕食は久しぶりの「ベトナムアリス」で、青パパイヤのサラダ、生春巻、牛肉とセロリのフォー。