Wednesday, February 20, 2013

平和への権利作業部会3日目終了

グランサコネ通信2013-07                                                                                                                                                                                                                   *                                                                                                                                               (1)宣言草案13条「義務と履行」 2月20日午後、国連人権理事会平和への権利作業部会は、宣言草案13条の審議に入った。最初に、モナ・ズルフィカー諮問委員会作業部会長が、なぜ義務と履行の規定が草案に入ったのか経過説明をした。というのも、これまでつくられた国連宣言にはこの種の規定がない。宣言は「**は権利である」と宣言するだけである。権利を実現するためのメカニズムを規定するのは人権条約である。条約ではない宣言に実施メカニズムを盛り込んだのは、NGOの「ルアルカ宣言」や「サンティアゴ宣言」である。サンティアゴ宣言は、通常の人権条約に匹敵する実施メカニズムを盛り込んでいた。諮問委員会での議論では、実施メカニズム規定は難しいということで大半が削除されたが、13条だけ残された。                                                                           政府では、イラン、ペルー、エジプト、シンガポール、モロッコ、ロシア、イラン(2回目)、インドネシア、セネガル、スリランカ、キューバ、シンガポール(2回目)、アルジェリアが発言した。                                                                        アメリカやEUが発言するまでもなく、多くの国が13条は現段階では無理との感触であった。エジプトは、価値はあるが難しいと述べた。インドネシアは、平和への権利は前進的な性質をもつという言い方で、実施メカニズムも必要だが、といった言い方で結局は無理だという結論のようだった。スリランカは、13条6項(人権理事会が実施メカニズムに責任を持つ規定)の削除を要求した。                                                                             NGOでは国際平和メッセンジャー(カルロス)が実施規定の重要性を訴えた。世界女性サミット財団(エリィ・プラクレバレル)は、各国がよき実践を行う責任を強調した。                                                                                                                        (2)宣言草案14条「最終条項」                                                                                                                                                                                                   ペルー、国際平和メッセンジャー(カルロス)が発言した。                                                                                                                                                      (3)民主的国際秩序独立専門家                                                                                                                                                                                                                                                                                          ここで、アルフレド・デ・ザヤス「民主的国際秩序促進独立専門家」が来たので特別発言となった。                                                                                                                 たとえば、次のようなことを述べた。作業部会の任務は、既存の国際規範を確認することだけではなく、発展を促進し、実施メカニズムを作り、価値を追加することである。平和への権利の法的根拠は、国連憲章そのものである。国連総会の友好関係決議2625、侵略の禁止決議3314もある。世界人権宣言28条も根拠を提示している。多くの国連人権条約もある。また、憲法の中に平和条項があって、判例の出ている国もある(日本とコスタリカのことだ)。平和の文化や平和教育のことも強調し、共通のヴィジョンを持つだけではなく、平和の文化のロードマップをつくるべきだ。世界人権宣言29条に従って、各国の義務、人民と個人の義務も指摘したい。人民及び個人の権利としての平和への権利は、国連憲章と人権条約に基づいて、既に存在する。ニュルンベルク裁判と東京裁判は平和に対する罪で裁いた。国際刑事裁判所規定は侵略の罪を掲げている。                                                                                                               デ・ザヤスの発言の大半は、アメリカやEUが宣言草案を批判したのに対する総反論というべき内容であった。エリィ・プラクレバレルと私は拍手。                                                                                                             デ・ザヤスはアメリカ人だが、ジュネーヴ外交国際関係大学教授で、長年ジュネーヴに在住し、国際人権法の専門家として知られる。平和への権利の議論の過程で、NGOフォーラムや人権高等弁務官事務所主催シンポジウムでも発言してきた。