Saturday, September 21, 2013
他国の人権改善に無関心な国(2)
20日の国連人権理事会でも普遍的定期審査(UPR)最終報告が続いた。4か国のUPR最終報告を傍聴した。(1)バングラデシュに対する世界各国からの勧告は196、うち日本は1つで、ちょうど100番目。日本政府も常に沈黙しているわけではなく、きちんと発言しているようだ。その内容は、「100.仏教徒やヒンドゥ教徒など宗教的マイノリティの安全を確保するさらなる措置を採用せよ」である。バングラデシュ政府は日本政府の勧告を受け入れた。なぜなら、「はい、やっています」という話だからだ。そもそも「さらなる」ということは、「バングラデシュは安全を確保する努力をしているが、さらに・・」という意味だ。バングラデシュ政府が喜ぶような勧告だ。これに比べて、例えばモルディヴは「拷問等禁止条約選択議定書に加入して、効果的な国内予防機関を設置せよ」と勧告し、バングラデシュはこれを拒否した。そこから対話が始まる。「なぜ受け入れないのか」と。(2)アゼルバイジャンに対する勧告は162、日本は何も発言しなかった。(3)カメルーンに対する勧告は171、日本は何も発言しなかった。(4)ロシアに対する勧告は231、日本は2つ勧告した。1つは、冒頭の1番目で「1.強制失踪保護条約を批准せよ」。もう一つは、「144.表現の自由をさらに保障する努力を続けよ」である。かつて南米等で軍事独裁政権による強制失踪が吹き荒れた時代、独裁政権に援助していた日本政府だが、日本人拉致事件以後、強制失踪問題に前向きになった。それは良いが、ロシアは「はい、批准方針です」と答えておしまい。後者の表現の自由については何も言っていないに等しい。たとえば、アルジェリアは「ジャーナリストと、そのマスメディアでの活動につき、自由と正当性を強化するため、彼らを保護することに特に注意を払え」と勧告した。オーストリアは「ジャーナリストに対する暴行傷害事件を捜査し、犯人に責任を取らせるように努力を強化せよ」、アイルランドは「ジャーナリストや人権活動家に対する暴行傷害事件の申し立てがあれば徹底的、迅速かつ公平に捜査せよ」と勧告している。ノルウェー、ラトビア、ドイツ、オーストラリア、モーリタニアなど次々とこういう勧告を出している。