Tuesday, September 24, 2013
グローバル・レイシズムと闘う
24日の国連人権理事会は、議題8「ウィーン宣言と行動計画の実施のフォローアップ」と、議題9「人種主義、人種差別、外国人嫌悪、関連する不寛容の諸形態」の審議が行われた。議題8では、本年6月にウィーン世界人権会議20周年のシンポジウムが行われたことをオーストリア政府が報告し、各国政府とNGOによる討論。発言では、ウィーンから始まった女性の権利のメインストリーム化がどれだけ実現したか、及びLGBTの権利が目立った。議題9では、2001年のダーバン宣言と行動計画の実施がテーマだが、欧米や日本のサボタージュのため、ダーバン行動計画のフォローアップ作業ができていないため、その一部の「アフリカ出身者の権利」の議論がなされた。「アフリカ出身者に関する専門家作業部会」の報告書が紹介された(A/HRC/24/52, Add.1 and Add.2)。付録文書は、イギリスとパナマへの訪問調査の報告書。イギリス訪問報告書にはヘイト・クライムに関する記述があるので、別途紹介したい。イギリス政府の回答文書(A/HRC/24/52/Add.3)も配布された。午後に、反レイシズム世界ネットワーク、国連青年学生国際運動などが主催のサイドイベント「グローバル・レイシズムと闘う」に参加した。司会は、平和と自由のための女性国際連盟のクリシュナ・アフージャ・パテル。最初の発言は、「アフリカ出身者に関する専門家作業部会」メンバーのミリヤナ・ナイセスカで、今回の報告書作成経過に少し触れ、アフリカ出身者は世界中にいて、当該地域の民族構成・住民構成も多様であり、その生活実態や状況は多様だが、差別されるときのステレオタイプにはかなり共通性があることを、司法、教育、健康などに即して概説した。続いて南アフリカ外務省人権担当官のピッツォ・モントウェディが、2001年のダーバン会議の準備で議題設定を担当した時の苦労から始めて、ダーバン宣言は歴史的ランドマークだが、重要なのに良く見落されるのはそれが被害者の問題から始めたことであるとし、アフリカ・アジア・ラテンアメリカ諸国によるフォローがあるが、国際社会全体によるフォローになっていないことは残念とし、最後にスポーツ分野における差別の問題を少し話した。最後の発言者は、国連青年学生国際運動のヤン・レーンで、市民社会と国連メカニズムの間にずれがあるとし、様々な困難があるが、その一つが財源で、一方では被害者救済の補償の出し惜しみがあり、他方で人種差別予防メカニズムの財源がないことを強調した。ヤン・レーンには、イラク戦争の時に、ブッシュの戦争犯罪を裁く「イラク世界民衆法廷WTI」運動でお世話になった。ジュネーヴで記者会見をしたときの手配・準備もやってもらったので、それ以来の知り合いだ。「グローバル・レイシズム」について、その定義や射程はどういうものかを質問したが、「最初はレイシズムと闘うだったが、チラシを作った時に余白があったので、グローバル・レイシズムと闘う、に変えた」と笑っていた。それはないだろう、この名前を見て、参加したのに(苦笑)。