Monday, September 23, 2013
ルールを守らないNGO
23日の国連人権理事会は、まず先週の続きで議題6「普遍的定期審査UPR」の一般討論、続いて、議題7「パレスチナにおける人権状況」の討議を行った。UPRは、先週金曜までにロシア、アゼルバイジャン、バングラデシュ、キューバ等の審査を終え、決議も採択された。23日は一般討論で、これはUPR制度の改善提案が中心だった。各国政府の発言に続いて、NGOの発言だったが、「国連ウオッチUNW」というNGOがキューバ非難の発言をした。UNWはもともとキューバたたきばかりしてきたNGOという印象があるので、ああ、またか、と思って聞いていたところ、キューバ政府がポイント・オブ・オーダー(議事進行に対する意見)。議長が、UNW発言を中止させて、キューバ政府が発言。「キューバに関するUPRは20日に終わって決議も採択済みであるのに、このNGOはなぜいまキューバについて発言しているのか。一般討論のルールに反するのではないか」。なるほど、その通りと思った。ところが、アメリカが「政府は市民社会の声を聴くべきだ」と余計な発言をしたため、場が一気に盛り上がった。直ちに、パキスタンが「手続きのルールが決まっている。NGOにも発言権があるが、マナーを守るべきだ」。ベネズエラが「キューバを支持する。市民社会の声を聴くべきだが、ルールを守らないNGOの発言を許すべきでない」。中国が「キューバを支持する。政府もNGOもルールを守るのが当然」。エジプトが「NGOが提供する情報は重要だが、このNGOは明らかにルール違反だから認めるべきでない」。イランが「キューバを支持する。ルールを守るよう要請する」。それで議長が「UPRの個別審査は終わった。今は一般討論であるから、ルールに従って発言するように」と述べて、再びUNW発言となったが、なんとUNWはキューバ非難発言を続けた。事前に用意したペーパーをただ読んでいるから、こうなる。馬鹿だ。即座にキューバが2度目のポイント・オブ・オーダー。「いま記録を確認したところ、このNGOは20日のUPR審査の時に発言したが、いまも同じことを発言している。なぜ一般討論で特定国非難を繰り返すのか。議長、ルールを守らせるよう要請する」。議長が、同じことを繰り返してUNWに質問。UNWは「発言を終わります」の一言に追い込まれた。UNWは以前からキューバ、イラン、シリア、朝鮮を非難し続けてきた。発言内容はともかく、やり方がお粗末で、墓穴を掘り、「ルールを守らないNGO」というレッテルを自分で張ってしまった。しかも、よせばいいのにアメリカがUNW擁護発言をして顰蹙を買った。もともとUNWはアメリカ政府の手先と言われかねない偏った発言をしてきたのに、窮地に立つやアメリカが助けようとした。しかも中身はルール違反と断定される中身だ。アメリカ発言を認めたら、今後、他のNGOは、いつでも、議題と関係なくアメリカ批判発言をしていいことになる。滅茶苦茶だ。UNWもアメリカも無用に評価を落とした。議題7では、8月22日付の国連人権高等弁務官事務所の「東エルサレムを含む占領下パレスチナにおける人権状況」報告をめぐる審議。報告書は人権理事会決議22/28によるもので、2012年12月~2013年5月のデータをもとにしている。イスラエルは席をはずした。以前は反論したこともあったが、今回は欠席戦術。決議22/28自体を認めないという意味だろう。パレスチナ、シリア(ゴラン高原があるので当該国の一つ)が発言した。続いて政府発言で、パキスタン、イラン、ガボン、エクアドル、ブラジル、マレーシア、アラブ首長国、インドネシア、ベネズエラ、カタール、クェート、モルディブ、リビア、チリ、アンゴラ、モーリタニア、ロシア、中国など40カ国近くが次々と発言し、パレスチナ人民への連帯を表明。途中でアメリカ政府がいなくなったのは、故意か、たまたまか。西欧諸国は一切発言しなかった。