25日、国連人権理事会諮問委員会は、今後取り上げるべき議題の案について検討した。韓国のソー委員は、地域的人権メカニズムを提案している。欧州人権条約と人権裁判所のように、米州やアフリカにはメカニズムが出来ているし、東南アジアも進展中。これらの理論的実践的成果を研究する課題である。もちろん、東アジアにそういうメカニズムが全くないことが主眼。オカフォル委員、ザン委員(中国)をはじめ数人の委員が賛成意見を次々と。諮問委員会としてはまとまるだろう。ただ、人権理事会が認めないと実際には動けない。他に、社会権と持続可能な発展など、いくつかの案が出されていた。ジーグラー委員は文化遺跡の破壊を提案していた。
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29日から4週間の日程で、国連人権理事会が開催される。1週目はハイレベルセグメントで、各国政府のプレゼンテーション。
予定されているパネルは、2030年持続可能な社会、国際人権規約50年、気候変動、障害者の権利、子どもの権利、HIV、民主主義とレイシズム、移住者の権利など。
普遍的定期審査(UPR)はミクロネシア、レバノン、モーリタニア、ナウル、ルワンダ、ネパール、セントルシア、オマーン、オーストリア、オーストラリアなど。
他に提出されている主な報告書は、信仰の自由、子どもと武力紛争、マイノリティ、勤労の権利、家族の保護、麻薬の影響、食糧の権利、拷問、子ども売買・ポルノ、反テロと人権等。子ども売買・ポルノでは特別報告者の日本訪問報告書が出ている。
マイノリティ問題の特別報告者も日本訪問をしたが、その報告書はまだできていないので、次回のようだ。ただ、今回の報告書はカースト差別なので、部落差別に言及がある。
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『マイノリティ問題特別報告書』(A/HRC/31/56)
リタ・イザク特別報告者は、今回、カーストその他に基づく差別を取り上げている。その定義、影響を受ける集団、国際法の枠組みに言及したうえで、市民的政治的権利や経済的社会的文化的権利に即して検討している。アジアでは、インド、ネパール、スリランカ、日本。中東ではイエメン、アフリカではモーリタニア、マダガスカル、ナイジェリア、セネガル、ソマリアなど。
日本については、パラグラフ36で、反差別国際運動や部落解放同盟の資料を基に、概況を簡単に示している。パラグラフ74では、友永健三論文等を使って、職業差別と戸籍に言及。パラグラフ91では、友永論文を基に、教育を受ける権利について、高校就学率に言及。さらに、パラグラフ115では、同対法(1969-2002)に言及。