こまつ座+シアターコクーン企画の「漂流劇ひょっこりひょうたん島」は、楽しかった。
井上ひさしと山元護久が担当した人形劇を、人間が演じる新しい演劇だ。串田和美(演出・美術・脚本)。井上芳雄がダンディ、安蘭けいがサンデー先生、山下リオが博士・・・。人形劇の登場人物を人間が演じつつ、新しい物語に突入する。
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1964年から69年の5年間、NHK人形劇シリーズとして放送され、超個性的な登場人物たちが繰り広げる奇想天外、豪快で壮大な物語と、誰もが口ずさめるテーマソングや独特のユーモアで、子供から大人まで、日本中のお茶の間を魅了した「ひょっこりひょうたん島」(井上ひさし・山元護久原作)が、Bunkamuraとこまつ座の手により、全く新しい舞台作品として誕生することとなりました。
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ナンセンス劇あり、歌あり、踊りあり、無言劇あり、次から次と工夫を凝らした舞台だったが、時々、冗長の印象も。とくに「国際警察官」の幕はかなり冗長。星めぐりの歌は、なぜ、ここに、とフシギ。
トラヒゲは小松政夫、ドン・ガバチョは白石加代子とおもったら、当時の新宿は伊勢丹裏へ、そして「どん底」のギャグには大笑いした。もっとも、私の周囲の客は全然笑っていなかったのは、あの時代、あの場所を、知らないと笑えないギャグのためか。誰でも笑えるジョークあり、一部の客のみ笑うユーモアあり、だったが、これは串田の想定による。ひょうたん島をどのように描いても、どの客にも不満が残るかもしれない。「それぞれのひょうたん島」だからだ。
エンディングは客席も一体となってテーマソングの大合唱。演劇作品としての質は高いとは言えないが、誰もが子どもに帰って楽しめる舞台だった。