Saturday, February 27, 2016

ヘイト・クライム禁止法(102)モンテネグロ

モンテネグロには、ヘイト・スピーチ処罰法、及び「アウシュヴィツの嘘」処罰法がある。
モンテネグロ政府が人種差別撤廃委員会に提出した報告書(CERD/C/MNE/2-3. 12 July 2013)によると、刑法第15章「市民の自由と権利に対する犯罪」において差別に対処している。刑法158条は、マイノリティが自己の言語を用いることを東京が妨げて市民の権利を否定・制限した場合、平等侵害の特別形態として、罰金又は一年以下の刑事施設収容としている。刑法160条は、国民の文化的表現の侵害を犯罪とし、罰金又は一年以下の刑事施設収容としている。公務員が公務中に犯した場合は三年以下の刑事施設収容である。刑法161条は宗教に関する進行や活動の自由を侵害する犯罪を罰金又は二年以下の刑事施設収容としている。刑法199条は、名誉・評判に対する罪であり、国民、国民的民族的集団に対する嘲笑は罰金3000以上1万以下のユーロとしている。
刑法370条は、人種、皮膚の色、宗教、出身、国民的民族的所属に基づいて定義される集団又は集団構成員に対して、公然と、暴力又は憎悪を招くことによる、国民的、人種的又は宗教的憎悪を惹起する犯罪を定め、六月以上五年以下の刑事施設収容としている。
上記の集団又は集団構成員に対して暴力又は憎悪を惹起する方法で、人種、皮膚の色、宗教、出身、国民的民族的所属に基づいて行われたジェノサイド、人道に対する罪、戦争犯罪であって、モンテネグロ法廷又は国際刑事法廷によって有罪が確定した事例を、公然と容認し、事実を否認し、重大性を矮小化した者にも同じ刑罰が科される。当該犯罪が、強制、不法処遇、危険化、国民的、民族的又は宗教的シンボルへの嘲笑の表明、記念碑への冒涜によって行われた場合、一年以上八年以下の刑事施設収容とされる。刑法35章には、ジェノサイド、人道に対する罪の犯罪規定とともに、ジェノサイド実行の煽動の罪が規定されている。
公共の平穏と秩序法17条は、公共の場において、口頭、文書、サインその他により、市民の人種、民族、宗教的感情や公共道徳を侵害した者を、最低賃金の3倍以上20倍以下の罰金、又は60日以下の拘留としている。
 スポーツイベント暴力犯罪予防法第4条1項は、物理的紛争、民族的人種的宗教的その他の憎悪又は不寛容を呼びかけたり、助長する内容のスローガンを叫んだり、歌をうたうことは違法行為としており、スポーツイベント参加禁止等の命令をすることができる。
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前田朗『ヘイト・スピーチ法研究序説』において、世界には120か国以上にヘイト・スピーチ処罰法があることを紹介した。
私たちが「国際的にはヘイト・スピーチ処罰は当たり前である」と主張したのに対して、一部の憲法学者や弁護士がマスメディアに登場して、「表現の自由だから、民主主義国家ではヘイト・スピーチは処罰できない。処罰するのはドイツなど一部の例外に過ぎない」と唱えた。私は5年がかりで120か国以上に処罰法があることを明らかにした。EU諸国はすべて処罰する。嘘つき憲法学者を黙らせるのに5年かかった。

このところこの作業を中断していたが、今後も立法例、適用例に学ぶ必要があるので、再開することにした。時々、情報を追加していきたい。