Sunday, August 18, 2013

国連人権理事会諮問委員会11会期閉会

国連人権理事会の下部に置かれた専門家機関である諮問委員会は、8月16日、5日間に及ぶ11会期を終了して閉会した。委員会は3つの決議を採択した。                                                                                  決議案1は「災害後・紛争後における人権の促進と保護」であり、7人の委員による作業部会を設置し、報告者に鄭鎮星委員を指名し、諮問委員会12会期(2014年2月予定)と人権理事会26会期に報告書を提出するとしている。                                                                                                         決議案2は「人権分野における国際協力の強化」であり、9名の委員による作業部会を設置し、報告者にオカフォル委員を指名し、諮問委員会12会期と人権理事会26会期に報告書を提出するとしている。                                                                                            決議案3は「腐敗が人権の享受に与える否定的影響」であり、13人の委員による作業部会を設置し、パベル委員を報告者に指名し、諮問委員会12会期と人権理事会26会期に報告書を提出するとしている。                                                                                                        諮問委員会11会期の全体のまとめは、オカフォル委員が作成した報告書(A/HRC/AC/11/2)に記載されている。                                                                                                               以下、感想。11会期はさびしい会期であった。議題が以上の3つに限られていたこともあり、実質的な意見交換も少なく、報告書作成に向けた事務手続きに終始した感がある。平和への権利国連宣言のための審議が前会期で終了したこともあって、注目するべき議論はほとんどなかった。ズルフィカー委員の発言では、前回10会期は平和への権利の議題しかなかったが、今回は3つあったので良かったと言っていたが、違うと思う。平和への権利の議論は、委員だけでなく、多くの政府が賛否両論を闘わせ、NGO発言も相次いだ。そして、ともあれ国連宣言草案が作成されて、人権理事会に送られた(人権理事会に作業部会が設置され、議論が続いている)。今回は、発言したのはほとんど委員だけで、政府発言もNGO発言も過去最低の回数であった。発言以前に、有力NGOのほとんどが参加しなかった。国際的に評価の高い有名NGOは、諮問委員会に見向きもしなくなった。諮問委員会の審議が充実していない証拠である。もっとも、それは委員の責任ではない。諮問委員会の権限が、かつての人権委員会人権小委員会と違って、極めて限定されているためだ。この点を見直さないと、諮問委員会はその役割を低下させ続ける一方だろう。