Wednesday, August 21, 2013
ヘイト・クライム禁止法(35)
8月20日午後、人種差別撤廃委員会はベラルーシ政府報告書の審査を行った。ベラルーシ代表団は司法大臣以下10名、傍聴人は15名ほど。大半はNGOだが、一人、博士論文執筆のためというカリフォルニア青年がいた。修士課程を修了したが、大学院に籍を置かず、しかし、博士論文執筆のための申請をして奨学金を得てスイスにきて人種差別撤廃委員会を傍聴している。
ベラルーシ政府のプレゼンテーションは、大半は報告書の紹介だったが、報告書に乗っていない話もあった。一つは、子ども多文化フェスティバルで、他の諸国ではやっていないと思うと言っていた。小中学生のための多文化教育だが、いろんな企画を交えてフェスティバルとしている。もう一つはホロコースト犠牲者のためのメモリアル施設だ。ナチスによる強制収容所などで20万が死亡したこと、現在のユダヤ人コミュニティの権利保障をしていることなど。もっとも、なぜ報告書に書いていないのだろうかと疑問に思った。委員会からの質問でもまったくこの件に触れないのでいぶかしく思っていたところ、終了後にケマル委員がホロコースト被害への地区実の具体的内容、それと現在のネオナチの活動やヘイト・スピーチについて追加質問した。
ベラルーシ政府報告書(CERD/C/BLR/18-19. 15 November 2012)によると、行政犯罪法9.22条によれば、ベラルーシ語およびその他の国語(national language、公用語)への公然侮辱又は中傷、その使用への妨害又は制限、言語を理由とした敵意の唱道は刑事責任を生じる。同法7.3条1項6号によれば、人種的、民族的又は宗教的憎悪に基づく行政犯の実行は責任加重事由とされている。
刑法190条によれば、人々との自由や平等などの憲法上の権利への侵害は刑事責任を生じる。ジェンダー、人種、民族又は言語集団、出身、財政状態または職業、居住地、宗教信念に基づいて市民に、権利と自由を直接間接に侵害したり、直接間接に特権を与えたりすることは刑事責任を生じる。
刑法130条によれば、人種的、民族的又は宗教的敵意や不和の煽動は刑事責任を生じる。130条1項は、人種的、民族的又は宗教的敵意や不和、国民の名誉と尊厳の貶めを先導するための故意の行為を処罰する。130条2項は、公務員が権限を行使して前項の犯罪を行った場合)。刑法127条や128条によれば、人種的、民族的又は宗教的敵意や不和、一定の社会集団に対する政治的イデオロギー的敵意や憎悪に基づいて、例えばジェノサイド、人道に対する罪、殺人のような犯罪が行われた場合、刑事責任を生じる。