Wednesday, August 21, 2013
ジュネーヴ美術館散歩(2)
ジュネーヴ美術館(美術歴史博物館)はスイスの地元作家の作品展を開催していて、入場無料になっていた。3階は大半が地元作家作品展。2階と1階は常設の博物館展示。地下は民俗学や考古学展示。
ジュネーヴ美術館のいいところは、2~3時間で近世・近代西洋美術史を追いかけることが出来るところだ。ルーブルやサンピエトロ寺院だと、ざっと見るだけでも大変な時間がかかる。バーゼルもそうだが、ジュネーヴはその点、便利だ。
15世紀のコンラド・ヴィッツの宗教画。ルネサンスからバロックでは、マリオット・アルベリティネリ、ニコラス・ド・ヌシャテル、ニコラス・ベルヒェム、17世紀のアブラハム・ド・ヴリス、アンドレア・ヴァカロなど。18世紀になると、ヴォルテール像もあるが、肖像画に加えて、ジャン・バプティスタ・オードリの「白鳥とブルドック」のような作品もある。ジャン・エチエンヌ・リオタールの作品も数点。
さらに新古典主義やロマン主義も、ジャン・ピエール・サントゥールの「オリンピック・ゲーム」、地元出身のアダム・ウォルフガング・テプファー、ジャック・ローラン・アガセが多数並ぶ。アレクサンドル・カラーメも以前見た時からいくつもあるなと思っていたが、地元出身だ。「ハンデックの嵐」「ジュネーヴから見たモンブラン景観」、ジャン・バプティスタ・カミーユ・コローの「横たわるニンフ」「ジュネーヴのパキ港」。モネ、セザンヌ、ルノワール、ピサロなど印象派は今回撤去されていた。
圧巻はホドラーだ。フェルディナンド・ホドラーは、まさにスイスを代表する画家だ。もちろん、アンカーやパウル・クレーなどたくさんいるが、スイスを描き、膨大な作品を残した変貌する画家ホドラーはなんといっても目立つ。ホドラーの自画像が10点以上並べられていた。若きホドラーから老練のホドラーまで。レマン湖、トゥン湖、モンブランなど風景画も多いが、人物画もあれば、宗教的色彩の強い、極めてアクの強い作品もある。ホドラーはあらゆる手法、あらゆる様式に挑戦した。
バヨットンも多数展示されていたが、ジョヴァンニ・ジャコメティ、アウグスト・ジャコメッティ、クーノ・アーミエは今回見ることが出来なかった。シャガールとモジリアニはあったが。ピカソも数点あったはずが、水浴1点のみ。
近世近代西洋美術史というよりも、スイス美術史という意識で見たほうが良かったかもしれない。夏の間に機会があればもう一度行ってみよう。