Monday, January 23, 2017

ヘイト・クライム禁止法(124)マケドニア

マケドニア政府が人種差別撤廃委員会87会期に提出した報告書(CERD/MKD/8-10. 22 November 2013)によると、刑法137条は市民の平等侵害、144条は安全の危殆化、319条は国民的人種的宗教的憎悪、不和、不寛容を惹起すること、394条dはコンピュータシステムを通じた人種的排外主義的文書の流布、417条は人種差別その他の差別を犯罪としている。
結社・財団法4条1項は、結社の権利を保障している。同法4条2項は、憲法秩序の暴力的破壊、軍事侵略の助長・呼びかけ、国民的人種的宗教的憎悪、不寛容、又はテロ活動を目的とする団体の設立を禁止している。同法65条は、以上の団体の活動を禁止している。
刑法39条5項は、人種差別について、刑罰加重事由としている。犯罪が、国民的社会的出身、政治的宗教的信条、財産、社会的地位、ジェンダー、人種又は皮膚の色を理由として行われた場合、裁判所が刑罰について考慮するとしている。
差別からの保護委員会は、2011年に63件の申し立てを受理し、うち16件は手続きに乗らなかった。差別があったと認定されたのは4件、手続き中が5件、差別が認定されなかったのは20件である。2012年には74件を受理し、14件は手続きがなされていない。26件では差別が認定されなかった。
憲法裁判所は、2008年に6件受理し、5件が差別からの保護事案であった。1件は差別がなかったとして審理に入らず、4件は棄却された。2009年に14件のうち9件が差別事案であり、すべて棄却された。2010年に6件のうち3件が差別事案であり、すべて棄却された。
オンブズマン事務所は、2009年、情報処理電磁システムを採用したが、2009年及び2010年に有罪事案はなかった。
人種差別撤廃委員会はマケドニア政府に次のように勧告した(CERD/C/MKD/CO/8-10. 21 September 2015)。国内法に、人種差別撤廃条約第1条に従った人種差別の定義がない。刑法が人種主義団体への援助や財政支援を対象としていないのは残念である。2010年の差別からの保護法は不明確である。刑法を改正して条約1条に従った人種差別の包括的定義を含めるよう勧告する。一般的勧告35を想起し、人種差別を助長又は煽動する団体、団体参加、団体への援助を禁止するよう勧告する。人種差別禁止を公衆と司法に完全に理解させるように勧告する。