Friday, January 06, 2017

今野晴貴『ブラックバイト』(岩波新書)

『ブラック企業』『ブラック企業ビジネス』『生活保護』など、日本の労働と生活の現場から重要な問題提起を続けてきた著者による「ブラックバイト」論だ。
学生バイトの過酷な実態を、労働相談に基づく実例と、統計データを駆使して明らかにしている。現在のところ、ブラックバイトが目立つには、外食チェーン店、コンビニチェーン店、塾講師だという。その特徴は、第1に、学生の「戦力化」、第2に、安くて、従順な学生、第3に、一度入ると辞められない、「責任感」、脅し、暴力だという。また、学生ローンと化した奨学金の問題も取り上げている。そして、ブラックバイトに陥らず、抜け出すための対処法を提示している。
若者による若者のための労働相談POSSE、ブラック企業対策プロジェクト、ブラックバイトユニオンの調査・支援活動をもとにしているので、具体的な情報に基づき、明快な議論がなされている。