寺内徹乗「西田幾多郎の知られざる闇」『鶴彬通信 はばたき』27号(2017年)
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鶴彬を顕彰する会の機関誌『鶴彬通信 はばたき』最新号に掲載された論考は、知っているつもりで良く考えていなかったことに気づかせてくれる、勉強になる論考である。
編集部がつけたと思われる惹句は「かほく市が生んだ2つの“巨塔” さて あなたはどちら派?」であり、次のようなリード文である。
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「片や日本の思想界をリードしてきた哲学者・西田幾多郎。片や特高に追われ獄中死した反逆の川柳人・鶴彬。ともにかほく市の生まれ。先の15年戦争時代、真逆の生き方をした2人です。同じ風土に生まれ育ちながら、その没後も多くの後継者、崇拝者を生み出し哲学界に燦然と輝く評価に囲まれた西田と、闇に包まれほとんど忘れられながら一叩人や澤地久枝さんの手で発掘され、日の目を見つつある鶴彬。また前者は国から文化勲章を受けたり、県、市の手で立派な記念館が作られているのに対し、後者は行政を頼らず有志によるボランティアで知名度を少しずつ上げてきました。今改めてこの2人を並べてみると、雲と泥、明と暗という図式がくっきりと浮かんできます。さらに2人の内部(考え、思想)に立ち入って比較すると、あまりにも対照的な姿が見えてきます。天皇制国家、軍国主義容認の西田、軍国体制に命を懸けて抵抗、平和を希求した鶴彬。その経歴、思想を顕彰せず西田幾多郎をたたえるかほく市民に、鶴彬顕彰会の寺内徹乗さんが「ちょっと待って」と声をかけました。」
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軍国主義容認の西田記念館には1億円の予算でLEDのイルミネーション。片や、戦争反対の鶴彬のイルミネーションは市民の寄付による7万円と言う。「ちょっと待って」は、かほく市民に対してだけではなく、日本社会構成員全体に言わなければならない言葉だ。寺内さんの文章は説得力がある。是非一読すべきであり、推薦したい。
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鶴彬を顕彰する会
http://tsuruakira.jp/
ウェブサイトには機関誌26号までが掲載されている。最新の27号はまだ掲載されていない。顕彰する会に注文すれば送ってくれる。
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私の『非国民がやってきた!』(耕文社)で鶴彬を取り上げている。授業でも年に一度だが、鶴彬を紹介している。映画『鶴彬 こころの軌跡』もおすすめ。