Saturday, September 13, 2014

やまとんちゅ必読! 新しい琉球独立宣言

松島泰勝『琉球独立論――琉球民族のマニフェスト』(バジリコ、2014年)
なぜいま独立なのか!
琉球人教授が書き下ろした、植民地琉球の歴史と現状、
そして独立への道。
在琉米軍基地の集中とそれによるリスクの集中。「補助金」というもので本当に琉球人は潤っているのか。
全ての日本人の問題として考えさせられる労作。
            *
8月29日に公表された人種差別撤廃委員会の日本政府に対する勧告は、琉球に対する差別の現状を前にして、琉球民族の先住民族性を検討することを要請している。
他方、スコットランドの独立の是非をめぐる住民投票が世界の話題を集め、いったんは落ち着いていたはずのカタロニアの独立運動にも火がついている。
植民地支配への抵抗、地域間格差と差別への不満、自決権・自己決定権への希求……さまざまな要因から、自分を変え、独立をめざし、世界を変えようとする動きである。
本書は、まず琉球王国と琉球処分の歴史を概説する。歴史の中に琉球独立の根拠を見るためである。次のなぜいま独立なのかとして、植民地の実態を示す。アメリカと、その属国である日本が、琉球をいかに差別し、抑圧してきたか。琉球の人々がいかに異議申し立てをしても、基地はなくならない。次に独立論との関連で、琉球のナショナリズムを論じ、これまでの独立論(居酒屋独立論を含む)を検証し、さらに独立論への批判に応答する。最後に現代国際法における先住民族、自決権、自己決定権に立ち入り、とりわけ太平洋地域における海洋小国の独立を手掛かりに、琉球独立の国際法的根拠と現実的根拠を明示する。
著者は琉球民族独立総合研究学会を立ち上げ、共同代表となっている。学会は、琉球民族による琉球独立を理論的かつ実践的に研究するので、会員は琉球民族に限定されている。これを排外主義と批判する声もあるようだが、誤解である。抑圧し、基地を押し付けているやまとんちゅが乗り込んで引き回したりしてはならない。学会に入らなくても、琉球独立論議に参加できるし、琉球独立に協力もできる。
何が何でも琉球に米軍基地を押し付けると決めているやまとんちゅの一人であることに恥を覚えつつ、私は本書に学び、その主張を支持し、本書を推薦したい。
著者は太平洋の海洋小国の研究者でもあり、『ミクロネシア』の著者であり、グアムやパラオに在住歴がある。私は『軍隊のない国家』調査のためミクロネシア、メラネシア、ポリネシアをまわってきた。ただそれだけのことだが。
         *
なお、後田多敦『琉球救国運動――抗日の思想と行動』(出版舎Mugen、2010年)
知念ウシ 與儀秀武 後田多敦 桃原一彦 著『闘争する境界――復帰後世代の沖縄からの報告』(未来社、2012年)