松井英介『見えない恐怖――放射線内部被曝』(旬報社、2011年)
<「放射能、本当に大丈夫?」
身体の中にはいりこんだ放射性物質による内部被曝。
そのしくみや、健康被害を正しく理解するため、
内部被曝問題に取り組む医師による必読の一冊!>
6月30日発行です。松井英介さんとは、私たちが開催したアフガニスタン国際戦犯民衆法廷・第11回名古屋公聴会(2003年7月6日)で、劣化ウラン弾問題に関連して内部被曝について証言していただいて以来のお付き合いです。本書あとがきに記されているように、その証言をもとにして研究を続けられて本書を出版されています。最近、日本科学者会議の東海地方での原発シンポのコーディネータなども務められました。本書は 170ページの小さな本で一般向けの入門書ですが、単に解説や入門だけでなく、国と自治体に対してどのような要求を出していくべきか、あるいは個人としてできることは何かを具体的に提言しています。
例えば、
1 内部被曝を常に意識し、子どもに発症してくるであろう晩発障害を予防するための、子どもの安全最優先の日常行動計画を立てる。
2 妊産婦、乳児、14歳以下の子どもは、優先的に避難させるべく、学校・幼稚園・保育所や地域で知恵を集める。
3 野菜や肉、海藻や魚介類、牛乳などの飲食用農水産物は、汚染の極力少ないものを入手する。便利さと安価なものに頼っていた生活スタイルと価値観を転換させ、バランスよく食べ、運動し、身体の恒常性・免疫力を高める。
など
著 者:松井英介(まついえいすけ)
岐阜環境医学研究所所長。放射線科医師、日本呼吸器学会専門医、日本肺癌学会および日本呼吸器内視鏡学会特別会員。内部被 曝問題に取り組む数少ない専門家の一人。
1997年から保健会館クリニックの呼吸器外来と「東京から肺がんをなくす会」の画像診断を担当している。ネット動画放送「マル激トーク・オン・ディマンド」、「FM797京都三条ラジオ」などに出演。
目次
第1 章 福島原発事故による健康障害
第2章 内部被曝とはどのようなものか
第3章 原子力発電と内部被曝
第4章 広島・長崎原爆被爆者の内部被曝
第5章 ビキニ水爆実験による内部被曝
第6章 「劣化」ウランと内部被曝
第7章 トロトラストによる内部被曝
第8章 放射性物質を掘り出すことの意味