内山節『文明の災禍』(新潮新書、2011年)
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*著者プロフィル
1950(昭和25)年東京生まれ。哲学者。1970年 代から東京と群馬の二重生活を続ける。著書に、『「里」という思想』『怯えの時代』『日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか』 『戦争という仕事』『清浄なる精神』『共同体の基礎理論』など多数。
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10~20年ほど前に何冊か読んだことのある著者の本です。久々に手にして、そうか、こういうことを考えている人だったのか、と妙に納得。著者の「哲
学」の魅力は、地に足がついた哲学と言うところにあります。海外の現代思想の紹介と は無縁です。生活の知恵の延長上の哲学です。もっとも、一部にはかなりの人気ですが、哲学会ではあまり評価されていないようです。私自身 は、以前は、読み捨て本の中の一つとして購入し読んでいました。ちょっと齧っておくと、モノを考えるヒントになるという感じです。本書は 新書180頁ほどですが、いろんな読み方ができる本です。とりあえず、私は、ライフスタイルの変化をどのように模索していけばよいのかと言う感心で読みました。著者はにわかづくりではないスローライフ、里山の思想の持ち主なので。
*序章 供養――死者と向き合う*
*第一章 衝撃――自然の災禍、文明の災禍*
生命の衝撃
文明の災禍
静かな敗北
敗北のなかの光
*第二章 群衆――イメージの支配*
システム崩壊の連鎖
情報の壁
バーチャルな時空
情報と身体
*第三章 時間――営みをつなぐ*
未来の時間の破壊
現代における「ウチ」と「ソト」
力の求心力
虚無のなかから
*第四章 風土――存在の自己諒解*
グランド・デザイン
地域の復興
イメージのズレ
存在の諒解
コミュニティの意味
復興の意味
*第五章 共有――何かがはじまっていた*
変革のありか
基層的文明
破綻と転回
自利と利他
社会的使命
*終章 自由――イメージとは異なる世界*
専門性の罠
あとがき