http://www.bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2573598
2002年のブルーバックスですが、本年4月に5刷が出ています。本文は変更なしで、「はじめに」に続いて「復刊にあたり」が6行。
3月に書かれた文章ですが、「日本では軽水炉であり黒鉛炉ではないため、チェルノブイリのように黒鉛火災にともなう大量の放射性物質の放出による公衆の高レベル放射線被曝にはならない」と断定しています。なるほど、読み方によっては何も間違っていません。チェルノブイリと日本は違うと言っているだけで、正しい当たり前のことです。でも、福島もメルトダウンになり、大量の放射能を放出しました。幸い日本の陸地に降ってきたのがわずかで大半は空と海に放出したわけです。わかっていない段階で、このように断定してしまうので、科学的なのだろうか、と疑問。
目次を見ると分かるように、核兵器実験、原発と核燃料サイクル、核災害、水爆実験、シベリア核爆発、チェルノブイリ、東海村臨界事故などの現場での調査の記録です。セミパラチンスクにも、マーシャルにも足を運んでていねいな調査をしています。
<内容紹介>
「ヒロシマ」から世界の核被災地の人々へ、
祈りと励ましを込めた残留放射能測定レポート!
「70年は草木も生えない」と言われた原爆被爆地・広島、長崎は、みごとに復活した。では、20世紀後半、冷戦下の核兵器開発競争のために延べ2400回以上の核爆発実験が行われた実験場など、世界各地の核災害地周辺の核汚染と住民の放射線被曝はどれほどのものだったのだろうか?そして、その現状は?
緊急時に「あなたにできる放射線防護10の対処法」付
著書は、広島大学原爆放射能医学研究所の研究者である。米国の水爆実験の舞台となった南太平洋の島々から旧ソ連の核兵器実験場カザフスタンや、シベリアの核爆発地点周辺、原爆用プルトニウム製造所からの廃棄物汚染などのあった南ウラル、世界を震撼させた原子力発電所事故のチェルノブイリ、さらには臨界事故の東海村まで、自ら測定してまわった迫真の報告書。
(*なお、著者は現在は札幌医科大学教授)
●第1部 核災害の概要
第1章 核爆発とその影響
第2章 放射線被曝の基礎知識
第3章 世界の核兵器実験とその影響
第4章 原子力発電と核燃料サイクル
●第2部 調査の現場から
第1章 マヤーク・プルトニウム製造企業体周辺での核災害
第2章 旧ソ連邦での核兵器実験による周辺住民の被曝
第3章 南太平洋における米国の水爆実験
第4章 シベリアにおける核爆発の産業利用
第5章 チェルノブイリ事故
第6章 東海村臨界事故
第7章 放射線被曝地の回復
特別章 家族のための放射線防護