山岡俊介『福島第一原発潜入記――高濃度汚染現場と作業員の真実』(双葉社、2011年)
武富士の不正を暴き、武井会長(当時)を塀の中へと追いやったフリージャーナリストが、事故収束に向け不断の作業が続く福島第一原発に作業員に潜入。そこで見た驚くべき光景とは? 現役の作業員にも精力的に取材。彼らの赤裸々な思いを綴ったインタヴューも収録。
最初は原発作業員となって潜入しようと考えたが、それでは長期になってしまうので、短期の方法として、原発作業員が乗るバスに紛れ込み、巧みにもぐりこんだ記録です。Jヴィレッジからのバスに乗り込んで福島第一原発へ入り、防護服を着て内部を歩き回り、例の免震棟や、記者会見室も見たうえで、3号機まで50メートルのところまで行き、その写真を表紙に掲載しています。
チェックなどほとんどなく簡単に入り込めたこと(テロ対策はどうなっている!)とか、内部での安全管理も全く杜撰であることなど、次々と暴露しています。見事な突撃精神です。
不法侵入による逮捕と被曝のリスクを覚悟してのことです。不法侵入については事前に弁護士にも相談したそうです。東電が告訴すれば、不法侵入罪での取調べ対象になる可能性がありますし、本文を読むとどうも窃盗罪もやっているようなので、捜査当局がどう出るか。
また、作業員へのインタヴューも収録していて、原発労働とはいったい何であるのかもわかりやすく示しています。