Wednesday, October 12, 2011

和田武『脱原発、再生可能エネルギー中心の社会へ』

和田武『脱原発、再生可能エネルギー中心の社会へ』(あけび書房、2011年)


http://www.akebi.co.jp/


http://www.akebi.co.jp/html/tosyo/101datugenpatu-mokuji.html



<「原子炉を止めたら電力不足」ってホント? 「原子力発電は経済的」ってホント? なぜ、日本政府やマスコミは「原発は安全だ」と言ってきたの? 地震大国日本で原発は大丈夫? 等々の素朴な疑問がパッと晴れる、目からウロコの1冊です。


 「脱原発」はもはや世界の流れです。世界各国の脱原発の政策と実施の現状、そして日本での実現の道筋を分かりやすく記します。チェルノブイリ事故など放射能汚染の実態も。図表、写真なども豊富。筆者は日本環境学会会長。好評前書『環境と平和』著者>



ブックレット108頁なのですぐに読めます。著者は、元立命館大学産業社会学部教授で、専門は環境保全論・資源エネルギー論、日本環境学会会長、自然エネルギー市民の会代表です。著書に『拡大する世界の再生可能エネルギー』『飛躍するドイツの再生可能エネルギー』『地球環境論』など。



日本環境学会


http://jaes.sakura.ne.jp/



自然エネルギー市民の会


http://www.parep.org/



自然エネルギーに関する本もたくさん出ていますが、本書の特徴は、第4章の目次を見ればわかるように、住民・市民参加、自治体による自然エネルギー、地域社会における取組を重視し、実践的にすすめていることです。



「エネルギー生産手段導入の選択基準は、市民・自治体の場合は利潤最優先ではありません。企業の場合、従来の生産手段よりもコスト的に有利で利潤増加が見込める生産手段は積極的に導入しますが、そうでなければ積極的には導入しません。大きな利益が得られなくても、損をしない条件さえあれば、地球温暖化防止などの環境保全を願う立場から、市民や自治体は再生可能エネルギーに取り組むのです。」



「再生可能エネルギーは地域社会(市民や自治体)にメリットをもたらします。安全・安心なエネルギー供給、地域環境保全、地域社会の活性化、市民間あるいは市民・行政・企業間の協力協同関係の発展など、住みよい地域社会をもたらします。」





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第1章 原発依存社会の危険性  福島第一原発事故を踏まえて


 1 放射線、放射性物質、原子力発電


放射線/放射性物質と原子力発電
広島原爆1000発分の放射性物質蓄積/放射線による健康影響
晩発性影響/チェルノブイリ原発事故



 2 福島第一原発事故の発生とその影響
 3 福島第一原発事故の本当の原因


自然災害か人災か/筆者が指摘してきたこと/地震学者たちの警告


 4 事故原因をつくり出した社会的背景


政・官・財・学の原発利権癒着/原発関連の交付金
原発建設から廃棄までの甘い汁/原子力推進政策をつくる人々
原子力政策機関や電力会社への天下り
電力会社から研究者への莫大な「寄付金」
国民を原子力支持にする宣伝・広報・教育


第2章 地球温暖化がもたらす未来危機とそれを回避する条件
 1 人類生存の危機をもたらす地球温暖化
 2 不可逆的で回復不可能な現象


海洋酸性化による海洋生物の危機/凍土融解の進行による温暖化加速
海洋大循環の停滞による気象激変/氷床崩壊による海面の急上昇


 3 各国のエネルギー対策の動向
 4 危機回避に不可欠な温室効果ガスの大幅削減


危機回避のための温室効果ガス削減
原発に依存せず、温室効果ガス削減計画に取り組んだデンマーク
ドイツの脱原発・温室効果ガス大幅削減シナリオ
欧州諸国の中長期温室効果ガス削減方針と原子力


第3章 原子力と再生可能エネルギー
 1 原子力と再生可能エネルギーの特徴


資源としての特徴/生産手段の特徴


 2 住民主導の再生可能エネルギー普及


デンマークの風力発電と地域暖房
ドイツの脱原発下での温暖化対策と再生可能エネルギー発電の普及
電力買取補償制度による再生可能エネルギー発電の普及促進
再生可能エネルギーの熱・燃料利用分野での普及
農村地域を中心に全国に広がる再生可能エネルギー普及推進地域
ローデネ村の市民会社がつくった草原太陽光発電所
反原発から再生可能エネルギー100%地域づくり


第4章 日本での脱原発・再生可能エネルギー中心の持続可能な社会づくり


 1 日本の温室効果ガス削減目標と現状
 2 日本の再生可能エネルギー普及の現状


日本と諸外国の再生可能エネルギー利用状況


 3 日本での再生可能エネルギー中心の持続可能な社会づくり


地球温暖化防止と持続可能な社会づくりを目指すエネルギーシナリオ
日本の利用可能な再生可能エネルギー資源量
日本の再生可能エネルギー発電電力買取制度案とその問題点
適切な再生可能エネルギー電力買取補償制度による飛躍的普及
再生可能エネルギー熱利用、燃料利用の推進政策
日本の市民参加による再生可能エネルギー普及
日本の自治体による再生可能エネルギー普及
地域社会の取り組みによる再生可能エネルギー普及促進
再生可能エネルギー普及促進による社会的メリット


資料 日本環境学会緊急提言(2011年4月16日)
    「震災復興と脱原発温暖化対策の両立を可能にするために」