Tuesday, February 11, 2014
ヘイト・クライム禁止法(54)ウズベキスタン
人種差別撤廃委員会は、2月11日、ウズベキスタン政府報告書(CERD/C/UZB/8-9. 13 May 2013)の審査を行った。政府は5名、傍聴NGOは20名ほど。
政府代表が本をくれた。ウズベキスタン国内人権センター『世界人権宣言とウズベキスタンにおける人権保護の国内制度』(クリエイティヴ・ハウス・ウズベキスタン、2010年)。世界人権宣言の基本精神及び各条項に従って、ウズベキスタンの状況を点検している。日本政府もこのくらいの努力をしてほしいものだ。
ウズベキスタン政府報告書によると、憲法第57条は、戦争を唱導したり、社会的、民族的、人種的又は宗教的対立を唱導することを目的とする政党や団体の設立を禁止している。1996年の政党法も同様の規定である。2007年のマスメディア法は、戦争、暴力、テロ、宗教的過激主義、原理主義の主張の宣伝に利用したり、国民的、人種的、民族的又は宗教的敵意を煽動する情報を広めることを禁止している。
刑法第156条は、「民族的、人種的又は宗教的憎悪の煽動」と題して、故意に民族っコミュニティの名誉と尊厳を侵害し、国民的出身、人種、民族的背景又は宗教に基づいて、人々の集団に対して敵意、不寛容、不調和を煽動する見解を持って人の感情を侮辱すること、又は国民的出身、人種、民族的背景又は宗教に基づいて、権利を直接または間接に制限したり、直接または間接の特権を拡張することを、5年以下の自由剥奪刑としている。
刑法第141条は、性別、人種、民族集団、言語、宗教、社会的背景、信仰、人身の状態又は社会的状態に基づいて、市民に、権利を制限したり、特権を与えることを、最低賃金の50倍の罰金に処するとする。暴力を伴う事案では、2~3年の矯正労働、6月以下の拘禁又は3年以下の自由剥奪とする。(暴力犯罪に差別動機が伴う場合の規定様式と、差別犯罪に暴力が伴う場合の規定様式の差異が気になる。他の諸国について要調査)。
刑法第97条2項(k)は、民族的又は人種的敵意に動機づけられた故意殺人に、15年以上25年以下、または終身の自由剥奪刑としている。同様に、刑法第104条2項(h)は重大身体傷害、刑法第105条2項(h)は身体障害について刑罰加重としている。
以上の条文に用いられている「民族的及び人種的敵意」という動機は刑罰加重事由とされている。
2010年、裁判所における刑法第156条による有罪言渡人員は、全事件の0.12%、2011年は0.1%、2012年前半期は0.08%であった。
人権コミッショナー(オンブズマン)は市民権侵害の申立てを受け付けるが、2010年には、身柄拘束や刑事訴追に関して、宗教的理由その他の異議申し立てが288件あった。
刑法第56条に従って法執行機関が行った捜査は、2011年及び2012年前半期に10件20名の宗教的過激主義に事件であった。同じ時期に刑法第141条についての捜査事案はなかった。