Monday, February 17, 2014

ヘイト・クライム禁止法(57)スイス(1)

2月14日午後と17日午前、人種差別撤廃委員会は、スイス政府報告書(CERD/C/CHE/7-9. 14 May 2013)の審査を行った。政府は10数名、NGOの傍聴は35名ほど。地元だけあってNGOが多かった。                                                                      スイス政府報告書によると、憲法第8条が差別の禁止を明示している。また、憲法第7条は人種主義行為に対する積極的措置を取ることも定めている。                                                                              4条(a)について、刑法第261条と軍刑法第171条(c)が、公然と行われた人種的動機による行為を犯罪としている。                                                                                         警察統計によると、2009年に刑法第261条で捜査を行ったのは230件、159件が刑事手続きに乗り、73件が終結した。人種差別による有罪判決は30件。2010年に報告された事案は204件で、156件が解決した。2011年は182件で、128件が解決した。2010年と2011年の判決については最終数値がまだ得られていない。申立の大半は文書又は口頭の発言、電磁的手段での人種主義的見解の表明である。                                                                                                     反レイシズム連邦委員会統計によると、1995年から2009年までの間の申し立ては501件。判決が出たのは273件で、84%が有罪となっている。具体的事例は前回報告書に記載したと書かれている(前回報告書を明日チェック予定)。審査の際に口頭で少し説明があったが、早口でメモ取れず。ヘイト動機犯罪についての刑罰加重のデータはないとのこと。他方、スイス全体の刑事施設収容者の75%がスイス国籍ではない外国人だと言う。このことは委員たちも繰り返し話題にした。                                                                                                   4条(b)について、2005年、政府は暴力や人種差別を勧める過激運動を促進するシンボルを公然と用いることを犯罪とする立法案を議会に提出した。議会では、処罰される行為と処罰されない行為の区別が難しい、人種主義のシンボルの定義が不明確などの意見が出ている。人種主義のシンボルの使用が犯罪となるのは、人種、民族集団又は宗教の構成員を組織的に貶めたり侮辱したりする目的を有している場合だけである。議会は、刑法第261条を廃止したり、弱めようとする立法提案を拒否している。2007年8月7日、スイス民主主義者というグループが「表現の自由のために――黙ってないぞ!」という国民投票イニシアィヴを行おうとしたが、2009年2月7日の締め切りまでに10万の署名が必要なところ8万筆しか集められなかった。その後、こうした努力はなされていない。他方、議会は、規制を強化する立法提案も拒否している。