Monday, February 24, 2014
フクシマを国連に報告
2月24日、国連欧州本部のあるパレ・デ・ナシオンで、国連人権理事会・諮問委員会12会期が始まった(~28日まで)。人権理事会は47か国の政府が理事になるが、諮問委員会は国際人権法の専門家委員(学者、弁護士、元外交官など)によって構成される。日本政府推薦の委員は今回から小畑郁(名古屋大学教授)。24日午前は開会のセレモニー、議長の選出、議題の採択など。
午後に、議題3の「人権理事会が諮問委員会に要請したテーマ」のうち「ポスト災害・紛争状況における人権の促進と保護」の討議が始まった。担当の委員たちによる作業部会において既に討論がなされ、次の人権理事会に提出する報告書草案を作成中とのことで、今回は討論なしに終わりそうだった。シツルシン委員が「自然災害についての議論はしたが、去年、日本からのNGOが福島原発事故という人災を取り上げるようにと発言した。その議論もさらにしなくてはならない」と発言した。私たちのことだ。議長が「NGOからの発言希望はあるか」というので、シツルシン発言を手掛かりに、希望したところ許可が出たのでフクシマについて発言させてもらった。おおむね次のような内容。
<昨年に続いてフクシマの状況を紹介したい。昨年9月11日、神奈川に避難している被災者が、原発被害を訴えて横浜地裁に提訴した。事故から3年経つが、多くの人々が国内避難民状態であり、故郷に帰れない。政府と東電は金もうけしか考えていない。市民による原発民衆法廷は福島、広島、大阪、東京などで公判を開き、13年7月21日に判決を出した。判決は、原発事故災害と人権に関する国連特別報告者を設置するように提案した。日本政府は避難者を汚染地域に帰らせようとしている。被災者の人権(生命権、健康権、子どもの権利)が侵害されている。海洋汚染が続いているが、政府は無策である。>
ポスト災害と人権作業部会のプラダ委員が「福島災害の問題も含めて検討して、報告書作りをしていきたい」と応答してくれた。
「ポスト災害・紛争状況と人権の促進と保護」というテーマは非常に奇妙なテーマだ。災害と紛争状況をいっしょくたにしている。「ポスト災害と人権」と「ポスト紛争状況と人権」は、関連する面もあることはあるが、本来は別のテーマであり、区別して議論するべきだ。しかし、このテーマは上部の人権理事会が設定したものなので、諮問委員会にはこれを変更する権限がない。邪推だが、人権理事会は、ポスト災害やポスト紛争状況と人権の議論は不可欠だが、これをきちんとやると大変なことになるので、それぞれやるのではなく、セットにして議論することで、成果を出せなくてもよいようにした、と考えられる。たぶん、国際人権法として意味のある有益な成果文書に到達することが出来ないだろう。そういう限界が最初からあることは残念だが、ともかくチャンスのあるところでは、ひたすらフクシマからの被災者の人権侵害状況を訴えていくしかない。
昨年の発言は下記に紹介。
http://maeda-akira.blogspot.ch/2013/08/blog-post_12.html