8月11日、国連欧州本部で、国連人権理事会諮問委員会13会期が始まった。初日に議題2のうちの一つ「災害後・紛争後の人権の促進・保護」の審議が行われた。NGOの国際人権活動日本委員会(JWCHR、前田弓恵)は、次のような発言をした。
<JWCHRは本議題の下でこれまで2度にわたって、東日本大震災とそれに続く原発事故の下での人権侵害状況を報告してきた。今日は最近の状況について報告したい。
福島原発事故から3年以上が経過したが、被災者は避難生活を余儀なくされ十分な賠償がされていないままである。被害者は多大な生活不安の中にある。生活空間の空間線量とそのマップ化、食品や土壌・灰などの放射能測定値は十分知らされていない。2013年夏に実施されたがれき撤去作業により、放射性物質が飛散し、原子炉から50km離れた農産物に付着していた。
.そのような中で甲状腺がんに罹患している子どもの数は増加しており、約28万7千人中少なくとも50人と通常の少なくとも170倍高くなっている。さらに、原子力発電所で働く作業員の被ばく許容限度は、今年8月に100mmSVから250mmSVへ引き上げられた。
にも関わらず、日本政府は事故の解決を棚に上げて、停止していた原発の再稼働にやっきになっている。例えば規制委員会は、川内原発の適合審査について、避難計画が作成される前に審査通過をさせた。その理由は、避難計画の準備は地方自治体の責任であり、それが妥当かどうかを判断する「権限がない」というものであった。
本年5月21日、福井地裁は、安全審査が不十分であるとして、大飯原発の再稼働を差し止める判決を下した。ところが、政府は安全確認を放棄しながら、原発の再稼働方針を決定した。政府は主権者である国民の意見、及び裁判所の判決を尊重するべきである。政府は、事故の再発を防ぐ事故についてよく検証するべきである。国際人権活動日本委員会は、日本政府に再稼働の中止を求めるとともに、福島原子力発電所の被害者への十分な補償措置を講じるよう要請する。>