アルジェリア政府が人種差別撤廃委員会82会期に提出した報告書(CERD/C/DZA/15-19.15
October 2012)によると、人の名誉や評判に対する中傷行為を禁じた刑法がある。
従来は以下の通りであった。刑法296条は、人の名誉や評判に対する偏見となるような申立や非難は中傷であり、その出版や複製は、相手の名前を直接名指していなくても、特定できれば犯罪であるとする。刑法298条は、個人に向けられた中傷については5日以上6月以下の刑事施設収容及び/又は150以上1500以下のアルジェリア・ディナールの罰金とし、民族的又はPhilpsophical集団又は特定の宗教に属する者に向けられた中傷については1月以上1年以下の刑事施設収容及び300以上3000以下のアルジェリア・ディナールの罰金とする。刑法297条は、特定の非難を含まない攻撃的表現、侮辱、悪口は侮辱罪であるとする。刑法298条bisは、特定の集団に属する者に向けられた侮辱は5日以上6月以下の刑事施設収容及び/又は150以上1500以下のアルジェリア・ディナールの罰金とする。
2001年に刑法が改正された。刑法298条は、個人に向けられた中傷について罰金を5000以上50万以下のアルジェリア・ディナールに、集団に向けられた中傷について罰金を10000以上10万以下に改正した。
委員会はアルジェリア政府に対して次のような勧告を出した(CERD/C/DZA/CO/15-19.
20 February 2013)。法律は、人種差別を条約に沿って犯罪としていない。民族集団に対する中傷や侮辱は犯罪とされているが、委員会は、条約4条の全内容が法律規定に反映されていないことに関心を有する。委員会は、条約に従って刑法に人種差別の禁止を盛り込む改正を行うよう勧告する。CERD一般的勧告7号及び15号に注意を向けるよう勧告する。