この夏もパレ・デ・ナシオン(国連欧州本部)ではいくつもの展示がなされた。全部をいることはできなかったが、代表例を2つ。
「エチオピアの驚異(不思議)Wnders of Etiopia」写真展――新館2階のロビーホールで開かれた写真展。スイスやイギリスなどの写真家による作品で、多くは山岳、草原、河川、鳥獣類の写真。自然が織りなすまさに驚異的な美と不思議を見事にとらえた写真がいくつもあった。ごく一部、歴史ある街並みと人々の様子もあった。また、エチオピア女性の伝統衣装が10点ほど展示されえていた。
優れた写真だが、いつも思うのは、アフリカの自然や、エキゾチックな街並みの写真を撮影して公表するのは欧州の写真家(日本の写真家)ということだ。まだ、やむを得ないのだろうか。
「HIV/AID――沈黙を破るBreak of Silence」展――人権のためのアートArts for Human Rights主催の美術展。31人のアーティスとの作品だ。半分以上が南アフリカだが、他にイングランド、スコットランド、インドなど。イギリスとその植民地、大英連邦。油彩あり、シルクスクリーンあり、銅版画あり。宣伝ポスター風の作品と、かなり美術志向の強い優れた作品が見られた。「沈黙を破る」という主題を決めて、その下で描いたようで、いずれもまさに「沈黙を破る」ための努力、叫び、行動を描き、呼びかけている。
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Le Petit-Lullier, Domaine Chateu L’Eveque,
Geneve, 2013.