Wednesday, July 10, 2024

「共同親権」が憲法24条を壊す!?   共同テーブル第11回シンポジウム

 「共同親権」が憲法24条を壊す!?

〜離婚してもDVから逃げられない・・

7.26 共同テーブル第11回シンポジウム

民法改正によって「共同親権」が2026年まで導入されることになりました。

「共同親権」は、未成年の子どもについて父と母の双方が共同して親権を行使する制度です。離婚しても親は親、という美しいイメージを抱きそうになりますが、離婚しても元配偶者と子どものことで連絡を取り合わなければならず、DVから逃れられなくなる懸念も出ています。

これでは、離婚後も元配偶者(多くは夫)の言うことに従わせたい関係性を許し、両性の合意のみによる婚姻・離婚などを保障した憲法24条を無視した「ゾンビ型家制度」になりかねません。

しかもこれは、法律婚か事実婚かを問わず、また結婚中か離婚後かに関係なく、「18歳未満の子どもがいる方すべてを対象とした大改正」なのです。

足元にソフトに忍び寄る改憲。

その実像について、一緒に考えてみませんか。

◉726日(金)午後2

◉衆議院第一議員会館・B1大会議室

(1330分から、ロビーで入館証を配布します。)

総合司会 杉浦ひとみ(弁護士)

コーディネーター 竹信三恵子(ジャーナリスト)

対談 「共同親権のどこが危ないの?

前川喜平(元文部科学省事務次官)

武井由起子(弁護士)

現場からのトーク「共同親権導入に備えた問題と行動の提起」

多くの参加者が見込まれます。定員(300 )になり次第、申し込みを締め切りますので、至急、下記のメールアドレスまで、出席申し込みをお願いいたします。

E-mail :e43k12y@yahoo.co.jp

共同テーブル連絡先: 藤田 090-8808-5000 /石河 090-6044-5729

Sunday, July 07, 2024

安倍元首相国葬違憲訴訟第6回口頭弁論・報告集会

安倍元首相国葬違憲訴訟第6回口頭弁論・報告集会

 

20227月から「安倍元首相の国葬を許さない会」は、全国の市民の皆さんに呼び掛けて、安倍国葬反対の裁判闘争を展開してまいりました。

おかげさまで、この間、全国の800名を越える市民の方々が、原告となっていただき、画期的な、大型原告団を結成する事ができました。

マスコミはもはや忘れ去ったかの感がありますが、事件から2周年、「安倍国葬反対の裁判闘争」としては、全国でも、最大規模の、草の根の運動を組織し、さらに取り組みを展開していきます。

◉第6回口頭弁論

712日(金)14

東京地裁103大法廷

◉記者会見

712日(金)1530

6回口頭弁論後

司法記者クラブ(東京地裁の2階)

私たちの国葬違憲訴訟の取り組みの経過と裁判対処方針の報告

◉裁判報告集会

712日(金)17時頃開始

衆議院第2議員会館1

★連絡先(事務局)090-9399-3941(松代修平)、090-8565-5407(小山俊)

Saturday, July 06, 2024

安田浩一さん講演 「なぜ関東大震災朝鮮人虐殺を追いかけるか」

平和力フォーラム連続講座

ジェノサイドと闘う(第4回)

 

安田浩一さん

「なぜ関東大震災朝鮮人虐殺を追いかけるか」

◉8月10日(土) 開場18時、開会18時30分~20時30

◉東京ボランティアセンターJR飯田橋駅となり)

◉参加費(資料代含む):500

 

2023年は関東大震災朝鮮人虐殺100年でした。最近はコリアン・ジェノサイド、関東ジェノサイドと呼ぶ人も増えてきました。

101年目の今年、ジャーナリストによる関東大震災朝鮮人中国人虐殺調査の決定版と言うべき安田浩一『地震と虐殺1923-2024』(中央公論新社)が出版されました。東京、神奈川、千葉、埼玉、群馬の事件現場を探訪し、関係者に取材を尽くした本格的ルポルタージュです。

平和力フォーラムの前田朗がインタヴューして、安田浩一さんに本書出版に至る経緯と熱い思いを語っていただきます。

現代史におけるジェノサイドは人間の尊厳の否定であり、平和的生存権の否定です。私たちはジェノサイドの現実をいかに受け止め、これと闘っていくのかを真剣に考える必要があります。ジェノサイドと闘うために考え、ともに声を挙げていきましょう。

 

安田浩一さんプロフィル:ジャーナリスト。非正規雇用、外国人労働者、ヘイトスピーチ、ネット右翼など人権と差別を中心に取材・執筆。著書に『ネットと愛国』(講談社)『ヘイトスピーチ』(文藝春秋)『沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか』(朝日新聞出版)『団地と移民』(KADOKAWA)『愛国という名の亡国』(河出新書)『なぜ市民は“座り込む”のか:基地の島・沖縄の実像、戦争の記憶』(朝日新聞出版)など多数。

 

主催:平和力フォーラム

E-mail: akira.maeda@jcom.zaq.ne.jp

Friday, July 05, 2024

阿佐ヶ谷市民講座/関東大震災朝鮮人虐殺と天皇裕仁の責任

関東大震災朝鮮人虐殺と天皇裕仁の責任

許せぬ小池百合子の8年間にわたる追悼文拒否!

阿佐ヶ谷市民講座

 

718日(木)1830分~

阿佐ヶ谷産業商工会館(杉並区阿佐ヶ谷南3-2-19)

参加費:800円(学生400円)

講師:前田 朗

関東大震災朝鮮人虐殺はジェノサイドである。

国際法におけるジェノサイドの法理を基に検討すれば、最高責任者の摂政裕仁の責任が見えて来る。

「朝鮮人暴動」のデマを流して虐殺を助長し、事後に虐殺を隠蔽した日本政府の最高責任者・裕仁の関与の実態を解明しなければならない。

100年の間タブーと化して、誰も論じてこなかったのはなぜ?

*

主催:阿佐ヶ谷市民講座実行委員会

080-80806860

Sunday, June 30, 2024

講座 ジェノサイドと闘う(第3回) 田中宏さん「韓国・文喜相国会議長の天皇発言に接し、思うこと」

平和力フォーラム連続講座

ジェノサイドと闘う(第3回)

田中 宏さん「韓国・文喜相国会議長の天皇発言に接し、思うこと」

 

2023年は関東大震災朝鮮人虐殺100年でした。最近はコリアン・ジェノサイド、関東ジェノサイドと呼ぶ人も増えてきました。日本によるジェノサイドは関東大震災だけではなく、朝鮮半島植民地化過程及び植民地支配の下で猛威を振るいました。東学農民戦争、三一独立運動、間島事件を始め朝鮮半島各地で民衆虐殺が繰り返されました。

2019年、文喜相国会議長は、日本軍性奴隷制(慰安婦)問題について、平成天皇(現在上皇)による謝罪を求める発言をしました。後に謝罪する結果となりましたが、議長は、両国間の合意や談話があったが、解決できていない。被害者の心にしこりと恨み、嘆きが残っていると述べました。

この出来事を契機に、日韓の近現代史をどう考えるか、平和力フォーラムの前田朗が田中宏さんにインタヴューします。

現代史におけるジェノサイドや性奴隷制は人間の尊厳の否定であり、平和的生存権の否定です。私たちはジェノサイドの現実をいかに受け止め、これと闘っていくのかを真剣に考える必要があります。ジェノサイドと闘うために考え、ともに声を挙げていきましょう。

 

<第3回>

8月4日(日)開場13時30分、開会14時00分~16時30

東京ボランティアセンターJR飯田橋駅となり)

プロフィル:一橋大学名誉教授、龍谷大学安重根東洋平和研究センター客員研究員。定住外国人の地方参政権を実現させる日・韓・在日ネットワーク共同代表。著書『在日外国人』(岩波新書)『Q&A外国人の地方参政権』(五月書房)『戦後60年を考える――補償裁判・国籍差別・歴史認識』(創史社)共著『グローバル時代の日本社会と国籍』(明石書店)『外国人の定住と日本語教育』(ひつじ書房)など多数。

参加費(資料代含む):いずれも500

 

主催:平和力フォーラム

E-mail: akira.maeda@jcom.zaq.ne.jp

Friday, June 21, 2024

平和力フォーラム連続講座 「公文書に見る関東大震災朝鮮人虐殺の実態」山本すみ子さん

 平和力フォーラム連続講座

ジェノサイドと闘う

 

2023年は関東大震災朝鮮人虐殺100年でした。最近はコリアン・ジェノサイド、関東ジェノサイドと呼ぶ人も増えてきました。

共編著『神奈川県 関東大震災 朝鮮人虐殺関係資料』は、朝鮮人虐殺の実態を記録した「朝鮮人保護状況調」「支那人保護状況調」「内地人の朝鮮人に対して行いたる殺傷事件調」、そして数多くの目撃証言など、貴重な資料を収めています。

平和力フォーラムの前田が山本すみ子さんにインタヴューします。

現代史におけるジェノサイドは人間の尊厳の否定であり、平和的生存権の否定です。私たちはジェノサイドの現実をいかに受け止め、これと闘っていくのかを真剣に考える必要があります。ジェノサイドと闘うために考え、ともに声を挙げていきましょう。

 

<第2回>

726日(金)開場18時、開会1830分~2030

東京ボランティアセンターJR飯田橋駅となり)

山本すみ子さん

「公文書に見る関東大震災朝鮮人虐殺の実態」

プロフィル:横浜生まれ。小学校教員を務め、横浜市教育委員会の「在日朝鮮人教育の方針」に関わる。退職後は、隠蔽された横浜の関東大震災における朝鮮人虐殺を明らかにする「関東大震災時の朝鮮人虐殺の事実を知り追悼する神奈川実行委員会」の代表を務めている。編著に『神奈川県 関東大震災 朝鮮人虐殺関係資料』三一書房等。

参加費(資料代含む):500

 

主催:平和力フォーラム

E-mail: akira.maeda@jcom.zaq.ne.jp

Sunday, June 09, 2024

7.15シンポジウム ウクライナ・パレスチナ戦争の即時停戦を!

 ウクライナ・パレスチナ戦争の即時停戦を!

 

ウクライナ・パレスチナでは、戦争は拡大継続し、多くの市民が犠牲になっています。失われた命は戻ってきません。米欧は戦争を煽り日本政府も加担しています。「今私たちに何ができるのか」シンポジウムに参加し、一緒に即時停戦の声を上げましょう。このシンポジウムは3/20に続き2回目のシンポジウムです

 

2024 7/15 月・祝 12:30 開場 13:00開始

全水道会館 JR水道橋駅東口 徒歩2分

 

プログラム

12:30 開場 

13:00  パネリストのお話と質疑交流 

 ウクライナ戦争即時停戦の課題と展望

 国際連帯でガザの停戦を!沖縄と結んで

15:45 若者等の報告および交流

16:15 終了予定 

17:15  街頭宣伝

 

参加費

大人700円 

中・高・専門・大学生

・障害者500円 

ZOOM視聴700円

※当日券は+100円

 

ZOOM視聴希望者は 7/12(金)までに下記へ

お申込みください      

MAIL 1953math@gmail.com

 

パネリスト

和田春樹 (東京大学名誉教授) 

前田 朗 (朝鮮大学校法律学科講師)

具志堅隆松 (ガマフヤー)ZOOMによる報告

阿部治正   (流山市議会議員)

 

■呼びかけ人(順不同)

・阿部治正(流山市議会議員)・小西誠(軍事ジャーナリスト)

・柴田武男(元大学教員)・羽場久美子(青山学院大学名誉教授)

・黒井秋夫(PTSDの日本兵家族会・寄り添う市民の会代表)

・久保敬(元大阪市立小学校長)・有賀精一(日野市議会議員)

・前田朗(朝鮮大学校法律学科講師)

・具志堅隆松(ガマフヤー)・野中章弘(アジアプレス代表)

・海勢頭豊(沖縄シンガーソングライター)

・矢野秀喜(無防備地域宣言運動全国ネットワーク)

・西村美智子(都留文科大学元非常勤講師)

・佐藤周平(全交関東実行委員会)

・大矢英代(ジャーナリスト・カリフォルニア州立大学助教授)

 

主催/「ウクライナ・パレスチナ戦争の即時停戦を!」7.15シンポジウム実行委員会

お申込み

お問い合わせ 

佐藤周平 MAIL mizuiri2bottle@yahoo.co.jp

立山正隆 TEL09091426180 MAIL 1953math@gmail.com

Monday, June 03, 2024

岡 真理さん講演「ガザのホロコースト」

平和力フォーラム連続講座「ジェノサイドと闘う」 

<第1回講座>

日時:713日(土) 開場18時、開会1830分~2030

会場:としま区民センター・会議室6F池袋駅東口徒歩7

講演:岡 真理さん(早稲田大学教授)「ガザのホロコースト」

プロフィル:現代アラブ文学・パレスチナ問題研究、京都大学名誉教授、『記憶/物語』(岩波書店、2000)、『アラブ、祈りとしての文学』(みすず書房、2008)、『ガザに地下鉄が走る日』(みすず書房、2018年)、『ガザとは何か――パレスチナを知るための緊急講義』(大和書房、2023年)など。

*参加は先着70名となります。

*参加費(資料代含む):500

主催:平和力フォーラム

E-mail: akira.maeda@jcom.zaq.ne.jp

Saturday, June 01, 2024

RAWAと連帯する会スピーキングツアー・院内集会

RAWAと連帯する会結成20周年記念スピーキングツアー・院内集会

ターリバーンの再支配から早3年 アフガニスタンのいま 

女性と子どもたち、そして私たち

ツアー全体のスケジュール

https://afgan-rawa.blogspot.com/

 

6月24日(月)

衆議院第2議員会館多目的会議室

開場13:30、開会14:00 

通行証配布13:20~ 議員会館入口

●各会場の参加費は無料ですが、会場カンパをお願いいたします。

<主催>RAWAと連帯する会 連絡先:前田070-2307-1071

(当日)090-8212-0524

 

6月23日(日)東京集会

https://maeda-akira.blogspot.com/2024/05/rawa.html

Friday, May 31, 2024

菅義偉・元内閣官房長官・横領罪容疑の告発状

告発状

2024年5月31日

  

東 京 地 方 検 察 庁

 検事正          殿

  

     被 疑 者     菅    義   偉

       告 発 人      別紙目録記載のとおり

 

 

被疑者の後記所為は、業務上横領罪に該当すると考えられるので、捜査の上、厳正なる処分をなされたく、本状を以て告発する。

 

 

被疑事実

 

   被疑者は、2012年12月26日から2020年9月16日までの間、日本国政府の内閣官房長官の地位にあった者であり、官房長官の業務として、毎月1億円以上、年間約12億円以上の「内閣官房報償費」(いわゆる「官房機密費)を、政府から寄託されてこれを受託保管し、政府の支出する「政策推進費」「調査情報対策費」「活動関係費」等の公金として、随時にこれの支払いを決済して、政府の行う政策の推進のため等に、支出について決済し、適宜に使用する権限を有していたところ、2019年7月21日に施行された第25回参議院議員通常選挙に広島県選挙区に於いて、自由民主党候補者として立候補した河合案里の選挙運動事務所に、選挙公示直前である同年6月ないし7月中に金1億5000万円が振込まれた際、そのうちの500万円について、上記内閣官房報償費からこれを支弁し、本来の目的の外に、恣いままに受託金を費消したものである。

 

             罪 名 : 業務上横領罪

             罰 条  : 刑法253条

 

告発に至る経過等

 

  「内閣官房報償金」いわゆる「官房機密費」(以下、この通称に従う)は、その使途・金額について、これが全く秘密にされており、勿論領収証もなく、費目等について国会への報告義務もないものとされてきた。

  こうした全くのブラックボックス制度によって、従前から、「官房機密費は違法な目的や、公金支出に相応しくない私的な目的の下に使用されている」との疑惑が投げかけられてきていた。(近時の例では、「オリンピック東京大会招致開催のために、IOC理事に対する贈賄という違法目的に使用されたことが明らかになった。)

2 今般、2024年5月10日付「中国新聞」によって、「官房機密費から、国政選挙の陣中見舞として、候補者に現金が振舞われた」との、元官房長官自身の口からなされた告白が報道された。

  まさに、従前から深刻な疑惑の対象とされ、批判され続けてきた違法な支出が、関係当事者自身から直接に明らかにされるという重大な事態に至ったのである。

 

3 言うまでもなく、官房機密費は、政府が保管し支出する公金である。これを、一政党の選挙運動のために支出することは、もとより機密費の趣旨目的に完全に違背していることが、明白である。

  したがってこれを保管し、支出する権限を有している官房長官が、そのような決済・費消をなした場合には、<業務上横領の罪>に問議されるべきことは当然のことである。

 

4 <本件横領事件>

 

  2019年7月の参議院議員選挙に際して、広島県選挙区から自民党候補者として立候補した河合案里(末尾註)に対しては、金1億5000万円もの巨額の資金が振込まれ、これらを使用した選挙運動の結果、河合案里は一旦当選した。

  しかし直後に、彼らが公職選挙法違反の支出や、露骨な現金による買収行為などを行っていたことが明るみに出た。このために強い非難・批判が沸き起こり、河合案里は夫克行と共に御庁に逮捕され、更に起訴されて、両者共に有罪判決が下され、議員の地位が取消され、更には公民権をも奪われるという、民主主義を大きく穢す甚だしい不祥事が行われた。

 

  そしてこの件の捜査に於て、河合案里・河合克行の選挙事務所・議員宿舎他の関係箇所に対する強制捜索が行われたが、その際

    「総理2800 すがっち500」

 などと記載されたメモが押収された事実が存する(御庁既知・一般公知の事実)。

  これは明らかに、「当時総理であった安倍首相から2800万円・菅官房長官から500万円が振込まれた」ことを意味し、示唆しているものである。

    そこで河合元議員夫婦らは、これら資金を使用して大規模な買収事件を起こして、実刑判決すら受けるに至ったのである。

 

  いわゆる官房機密費については、毎月約1億円余という巨額の政府支出に対する適正な監視、コントロールが全く不可能であって、不明朗・違法な支出が疑われてきた。それゆえ、行政権行使が私物化されており、<財政民主主義>という憲法上の大原則が潜脱され、蔑しろにされているものとして、かねてから強く批判され、その廃止が主張され続けてきているところである。

  (なお、本告発については、一応、官房機密費制度が正式の制度として存在している以上、この問題はこれ以上は立入らず、これを前提とすることとする。)

 

  ところで、官房機密費の法的性格を考えるならば、これは、一定の制度的目的の下に、本人である政府から、内閣官房長官に寄託された金額であるとなすことが出来る。官房長官は、その目的遂行についての、行政機関としての適切な政策判断から、しかるべき使途についてこれを決済し、運用する職務上の責務を負っているのである。

 しかして、一定の使途を決めて寄託された金員について、その決められた使途に関係なく、目的外に当該委託金を費消した場合には、横領罪が成立すると解釈され運用されてきていることは、判例・学説上確立されているところである。

 

  では、政府から内閣官房長官に寄託された、官房機密費の使用目的は何か。

     それは「政策推進費」「調査情報対策費」「活動関係費」であるとされている。

 しかして、「国政選挙に於ける自民党候補者の選挙運動費用」への支弁が、これら①②③のいずれにも該当しないことは、一見して明白である。

 それは本来、候補者個人・支援者・自民党等によって(一定のルールのもとに)支弁されるべきものである。日本国政府がその行政活動のために支出する費用は全て公金である。1政党の政治活動のために使用されては決してならないことは改めて言うまでもない。

    しかるに被疑者は、官房機密費費消の運用実務が全くのブラックボックスであることを奇貨として、かかる目的外の費消を行ったのである。

  公金の寄託の趣旨目的に違背する、かかる官房機密費の費消が、業務上横領罪に該当することは明白である。

 

  なお、河合案里に対する1億5000万円は、形式的には直接には自民党本部から振込まれたこととされている。しかしこれはあくまで外形的形であると見るべきである。なぜなら

 

   ① 安倍晋三については、「総裁」ではなく「総理」とされており、内閣総理大臣としての拠出であった。

   ② また、被疑者は当時官房長官であった。

     更に、金500万円という金額は、その権能に於いて、上記のとおり簡単に動かし得る金額であった。しかして、「すがっち」が個人として拠出する

理由がない。

   ③ 中国新聞記載のインタビュー記事でも、自民党の元官房長官は「国政選挙の運動費用として使用した」「(菅氏の)500万円もやろうと思えばできる」旨を語っている。

       以上からすると、本件被疑者が河合案里陣営に拠出した金500万円については、官房機密費から拠出したと見ることが出来る。

   ⑤ なお、この際、「(安倍)総理」からの2800万円が共に拠出されているが、IOC理事買収事案では、安倍首相が馳浩金沢県知事に対して「官房機密費から出すから、どんどん使っていい。」旨を語ったという事実が存する。

 このように、安倍総理大臣が、自身の使用したいと考える機密費について官房長官に対する指揮監督権限を行使して、随意に機密費を使用させていたことが窺われる。したがって、本件の2800万円についても安倍首相が自身のポケットマネーから拠出したなどということはありえず、首相が被疑者に指示し、被疑者がその意井を受けて機密費から支出した事が確実である。

          但し、本件告発については「すがっち」の金500万円を対象とする。

 

5 結 語

 

   以上からして、河合案里候補に対する選挙運動資金のうち金500万円は、内閣官房長官であった被疑者によって、その職務上の権限を濫用し、官房機密費から違法に拠出され、業務上横領されたものであるから、しかるべき処罰を求めて本件告発に及ぶ。

   厳正な捜査のうえ、厳しい処分をなされたい。 

 

                                                                      以 上

                                                                    

添付資料(略)


(註)告発状中に「河合案里」「河合克行」とあるのは「河井案里」「河井克行」の誤記である。


Saturday, May 18, 2024

『希望と絶望の世界史』出版記念会

希望と絶望の世界史』出版記念会

転換期とは何か?

私たちはどこにいるのか?

 

的場昭弘・前田朗『希望と絶望の世界史』

https://31shobo.com/2024/02/24003/

 

<対談>

的場昭弘 vs. 前田朗

 

<トーク>

石塚伸一(一般社団法人刑事司法未来・代表理事)「権力論の視座から」

辛淑玉(のりこえねっと共同代表)「私・発の生き方」

羽場久美子(青山学院大学名誉教授)「現代帝国主義の行方」

藤岡美恵子(法政大学非常勤講師)「レイシズム克服のために」

 

日時:7月6日(土)(開場 18 時)18 30 分~ 20 30

会場:SCC 千駄ヶ谷コミュニティセンター(サークルホール)

渋谷区神宮前 1-1-10

JR 原宿駅竹下口徒歩 7

地下鉄副都心線北参道駅2出口から徒歩約 6

参加費(資料代含む):500

 

参加申込み:事前に下記 E メール又は電話で参加通知をお願いします

E-mail : akira.maeda@jcom.zaq.ne.jp

電話:070-2307-1071(前田)

主催:平和力フォーラム

Friday, May 17, 2024

RAWAと連帯する会結成20周年記念スピーキングツアー・東京集会

『ターリバーンの再支配から早3年 アフガニスタンのいま 女性と子どもたち、そして私たち』

 

ツアー全体のスケジュール

https://afgan-rawa.blogspot.com/

 

アフガニスタンでは、2021年ターリバーンの復権以後強権的な支配が続いています。

とりわけ女性の自由の制限が深刻で、教育や就労の機会が制限されています。国連をはじめ多くの人権団体がこれを批判し是正を求めています。しかし改まることはありません。

そのような状況の中、RAWAの女性たちは声を上げ、人々に寄り添って様々な活動を続けています。この度、RAWAのメンバーを日本に招き、アフガン社会の状況や人々の生活と闘いについて話をしてもらうことにしました。直接話を聞けるこの貴重な機会にぜひご参加下さい。

 

東京集会

6月23日(日) 14:30~ 

SCC千駄ヶ谷コミュニティーセンター サークルホール

        原則事前申し込み、当日参加も可能 

        090-8212-0524(前田)

参加費は無料ですが、会場カンパをお願いいたします。

共催:清末愛砂室蘭工業大学大学院研究室

 

■ツアー成功のためのご支援をお願いいたします。

カンパ振込先(ゆうちょ銀行)

記号番号 00930-1-76874

ATMまたは他銀行から振込の場合

ゆうちょ銀行

支店 099(ゼロキューキュー)

当座預金 口座番号 0076874

名義人:RAWAと連帯する会


「自民党のウラガネ・脱税に関わる、第二次刑事告発」行動

「自民党のウラガネ・脱税に関わる、第二次刑事告発」行動

 

いつもお世話になっております。

さて、自民党の裏金疑獄は、倫理の底が抜けた、非常識極まりない行為です。法律違反であり、明確な犯罪行為です。

特に、全国のサラリーマンや零細企業の皆さんが、怒っておられます。理由は明白です。零細企業はインボイスの導入で、徹底的な消費税の納入に追い込まれています。サラリーマンや零細企業の方々が、500万円・1000万円・2000万円・3000万円と脱税をしたら、税務当局の徹底的な調査・追及を受け、厳罰に処せられます。

しかるに、自民党の安倍派を中心とする国会議員は、パーテイー券収入のキックバックという裏金の大金を懐にいれて、逃げ失せようとしています。

庶民が脱税すると、厳罰に処せられるのに、自民党国会議員なら、1000万円・1500万円・2700万円、懐にいれて脱税しても許されるという事は、あまりにもおかしい。理不尽だ。これでは、日本は民主主義国家と言えるのか。このような怒りは、当然の声だと言えます。

4月28日の衆議院議員補欠選挙で、自民党が惨敗したのも、多くの国民の政治腐敗に対する怒りの声の爆発の結果だと言えます。

しかるに自民党と公明党が先般、取り纏めた政治資金改革案は、裏金の公認でありまさに焼け太りだと断言するほかありません。

自公の改革案では、今回のような裏金疑獄の再発を防止する事は、到底、不可能です。

問題の核心は、企業団体献金の全面的禁止・政治資金パーテイーの全面的禁止です。

しかし、この二点は、自民党政権は、絶対に容認しません。やはり、広範な国民の世論を高めて、政権交代を実現させるしかありません。

私たちは、金権腐敗政治を一掃し、清潔な政治と民主主義を取り戻すために、今回の自民党裏金疑獄に関して、安倍派の幹部政治家を、来たる531日、東京地検に第二次刑事告発を行ないます。

全国の市民の皆様のご支援・御協力を、何卒、よろしくお願いいたします。

 

●記者会見

日時  531日(金)1630分〜

スタッフの集合時間  531日(木)1530

衆議院第一議員会館のロビーに集合下さい。

 

記者会見の場所  衆議院第一議員会館・地下1階・大会議室

16時から衆議院第一議員会館のロビーで、入館証を配布します。

発言者

古賀茂明(政策アナリスト・元経産官僚)

雨宮処凜(作家)

前田朗(東京造形大名誉教授)

藤田高景(自民党ウラガネ・脱税を許さない会・代表)

大口昭彦(弁護士)

一瀬敬一郎(弁護士)

長谷川直彦(弁護士)ほか

 

★連絡先の電話 

松代(090-9399-3941) 小山(090-8565-5407) 藤田(090-8808-5000

Sunday, May 05, 2024

共同テーブル5・23第10回シンポ 経済の監視統制と軍事費大増強の危険な本質を暴く!

「新しい戦前にさせない」連続シンポジウム

共同テーブル52310回シンポ

経済の監視統制と軍事費大増強の危険な本質を暴く!

 

●日時  523() 開会・午後630分 (入場開始は午後6時)

●会場  文京区民センター(03-3814-6731)・3階・3A会議室 

東京メトロ・丸の内線・後楽園駅・「4b」出口 徒歩5

都営・三田線・春日駅・「A2」出口 徒歩1

 

 

プログラム

1 開会

2 ご挨拶 発起人を代表して 佐高信

 

3 講談 甲斐淳二(民衆の抵抗史を語り継ぐ社会人講談師)

演目「房総・花物語―戦時下で花を守った母と子」

戦争の時代、房総地域に花禁止令が出た。

 

4 シンポジウム

パネリスト

望月衣塑子(ジャーナリスト)「武器輸出と軍需産業」

青木理(ジャーナリスト)「経済安保と公安警察」

海渡雄一(弁護士)「経済安保法の狙うもの」

立憲野党の国会議員

コーディネーター・佐高信(共同テーブル発起人)

 

5 まとめと閉会挨拶

 

 

アメリカの中国排除に加担する「経済版秘密保護法(「甘利明・高市早苗」法案)」は許されない!!

本年3月に自公政権は戦闘機の輸出承認の閣議決定を強行した。

日本が作った武器で、世界の人々が殺害されてはならない。敗戦後、日本は、平和憲法を作り、その精神に則って、外国への武器の輸出を厳しく、禁止してきた。

しかるに、今回の閣議決定は、日本が、敗戦後、二度と侵略戦争は引き起こさないという決意のもと、殺傷兵器は外国に輸出しないという、戦後日本の平和の大原則を破壊する、歴史的な暴挙だ。

また、政府が拙速に、審議を進めている、経済安全保障分野に厳罰を伴う秘密保護法制を拡大する法案=経済版秘密保護法=「経済安保保護法案」は、機密の基準も曖昧で重大な人権侵害につながるものであり、あまりにも危険だ。

そもそも、中国やロシアを敵視する経済安保は、命の安全保障に反する軍事法だ。

何が秘密かを国家が決めるという意味で沖縄密約の西山事件を想起させるものであり、戦争のために電力を統制する電力の国家管理法をも連想させる。

すでに2018年に大川原化工機の社長らが軍事転用が可能な噴霧乾燥機を無許可で輸出したという無実の罪を着せられて、突然、警視庁公安部に逮捕され、11ヶ月も勾留された。これは経済安保が何をもたらすかを雄弁に物語っている。

軍事費大増強・武器輸出や経済安保の危険性を、パネラーが、徹底的に明らかにします。日本を代表する論客のお話は、あまりにも危険な大軍拡・武器輸出や経済安保の本質を考えるうえで大きな意義のある、また大変興味深いシンポジウムになると思います。多くの皆さまのご出席を、お待ちしております。

 

●資料代  1000

 

●申し込み先  定員(300名)になり次第、申し込みを締め切りますので、大変、恐縮ですが、なるべく早めに下記のメールアドレスまで、出席申し込みを、お願いいたします。

 E-mail   e43k12y@yahoo.co.jp

 

●主催  共同テーブル

 

「共同テーブル」連絡先

       藤田090-8808-5000   石河 090-6044-5729

Thursday, April 25, 2024

『検証・群馬の森朝鮮人追悼碑裁判』出版記念会の不手際について

『検証・群馬の森朝鮮人追悼碑裁判』出版記念会の不手際について

 

2024425

『検証・群馬の森朝鮮人追悼碑裁判』出版記念会実行委員会

 

 

 私たちは本年46日に、<歴史修正主義とたたかうために 『検証・群馬の森朝鮮人追悼碑裁判』出版記念会>(としま産業振興プラザ)を開催しました。

 当日は『検証・群馬の森朝鮮人追悼碑裁判』(雄山閣)の著者・藤井正希さん(群馬大学准教授)に講演してもらうとともに、5人の呼びかけ人によるリレートークを行いました。

 出版記念会終了後、オンライン上で事実に基づかない「論争」が巻き起こり、藤井さんに対する誹謗中傷が飛び交いました。現在もなお書き込みがオンライン上に残されています。

 私たちは、出版記念会の準備、運営、事後対応を通じて、この間の経緯を検証してきました。その結果、次のような結論に達しました。

 

1.私たち実行委員会は、準備段階及び当日の運営において、出版記念会の位置づけを十分に明確化しませんでした。

2.群馬の森追悼碑撤去の不当性を明らかにし、全国の追悼碑・慰霊碑についての議論を活性化させるために、運動論的課題(原則論)を確認する作業を十分に行うことがありませんでした。

3.藤井正希さんの「裁判意見書」、著書及び講演について、その議論の土俵を十分に整理・明確化して、呼びかけ人・参加者に十分な理解を促すための情報提供を心掛ける必要があるのに、これを怠りました。

 

 以上の結果、出版記念会の呼びかけ人や参加者に無用の誤解を生じさせることになりました。それゆえ、「裁判意見書」や著書に対する数々の誤解を招くことになりました。現在も藤井さんに対する名誉毀損状態が継続しています。

 藤井さんは、群馬の森追悼碑撤去訴訟第一審において非常に優れた意見書を裁判所に提出し、原告勝訴に貢献しました。その後、控訴審及び群馬県による追悼碑撤去強行に抗議する運動においても重要な役割を果たしました。

その経験に基づいて『検証・群馬の森朝鮮人追悼碑裁判』を執筆し、問題の所在を社会に広く知らせる努力を続けました。

また、藤井さんは、憲法学における表現の自由、とりわけマス・メディア規制の憲法論の研究を深めるとともに、ヘイト・スピーチ刑事規制のための憲法論を構築してきました。

 ところが、私たちの準備不足と運営の不手際のために、藤井さん及び出版社に対して名誉毀損と信用毀損を招来する結果となりました。

 こうした事態を惹起したことについて、実行委員会として、藤井さん及び雄山閣に謝罪いたします。

 なお、実行委員会内での検証作業を引き続き進めており、呼びかけ人には適宜報告させていただきます。

                          (以上)

Tuesday, April 23, 2024

苫小牧9条の会・憲法記念日講演会

苫小牧9条の会・憲法記念日講演会

 

5月3日(金)午後2時開演

アイビープラザ講習室

電話338131

 

講演:前田朗(東京造形大学名誉教授)

「世界に誇れる日本の平和憲法」

 

資料代:300

 

主催:苫小牧9条の会

共催:非核平和・都市条例を考える会

後援:苫小牧市、苫小牧市教育委員会、苫小牧民報社、ひらく

Sunday, April 21, 2024

アフガニスタン訪問・室蘭報告会

 アフガニスタン訪問・室蘭報告会

『ターリバーン支配下のアフガニスタン女性と子どもたちの今』

2024 227日~39日アフガンツアー報告

 

(日時) 52日(木) 14:00 ~16:00

             (13:30 開場)

(場所) 中小企業センター 2階研修室 (北海道室蘭市東町4-29-1)

(参加費) 500円   どなたでもご参加いただけます

 

<報告者> 

*清末愛砂(室蘭工業大大学院教授、憲法学、RAWAと連帯する会共同代表)

   著書:猫塚義夫・清末愛砂『平和に生きる権利は国境を超える』(あけび書房)、清末愛砂・前田朗・桐生佳子『平和とジェンダー正義を求めて――アフガニスタンに希望の灯火を』(耕文社)、他多数

 

*前田 朗 (朝鮮大学校教員、国際人権法、RAWAと連帯する会共同代表)

     著書:『ジェノサイド論』(青木書店)、『軍隊のない国家』(日本評論社)、他多数

 

*桐生佳子(RAWAと連帯する会事務局長)

*高橋国夫(社会活動家、RAWAと連帯する会事務局)  

 

<共催>RAWAと連帯する会 、憲法を守る室蘭地域ネット、

    室蘭工業大大学院工学研究科ひと文化系領域清末愛砂研究室  

 <連絡先> 増岡080-58304714

      akiyosue@muroran-it.ac.jp

Saturday, April 20, 2024

私たちはなぜ植民地主義者になったのか?in札幌

私たちはなぜ植民地主義者になったのか?

――コリアン・ジェノサイドからガザ・ジェノサイドへ

――ガザ連帯緊急上映『太陽の男たち』



51日(水)開場1300、開演1330

開場:札幌エルプラザ2F環境研修室

会費:500

主催:パレスチナ連帯・札幌(09095163750

 

戦争にも、人間として許されないルールはあるのか? 歯止めの利かない軍事作戦に国際法は手をこまねくしかないのか。国際法とはいったい何なのか。現代世界を植民地主義が覆っているのはなぜなのか。根本に立ち返って考えてみよう。

 

スケジュール

13301520

映画『太陽の男たち』(ガッサン・カナファーニー、1971年)

休憩

15301700

講演:前田朗「私たちはなぜ植民地主義者になったのか?」

17101800

質疑応答


前田朗講演会in札幌

430日(火)18:3021:30(開場18:10

会場  札幌エルプラザ4階中研修室

    (札幌市北区北8西3)

  ※JR札幌駅北口地下通路直結

参加費 800

  ※当日、会場にて受付ます(予約不要)

第一部 18:30-20:05

関東大震災ジェノサイド―摂政裕仁の責任を考える

第二部 20:15-21:15

差別されない権利の類型―人種差別禁止法のガイドブックを読む

 

前田朗(まえだ・あきら)

1955年札幌生まれ。東京造形大学名誉教授、朝鮮大学校法律学科講師、日本民主法律家協会理事。著書『メディアと市民』『旅する平和学』(以上彩流社)『軍隊のない国家』(日本評論社)非国民シリーズ『非国民がやってきた!』『国民を殺す国家』『パロディのパロディ――井上ひさし再入門』(以上耕文社)『ヘイト・スピーチ法研究原論』『ヘイト・スピーチ法研究要綱』『憲法9条再入門』(以上三一書房)『500冊の死刑』(インパクト出版会)等。

【主催】

札幌市に人種差別撤廃条例をつくる市民会議

問合先:Tel.090-6446-3974(チョキム)

syu@sapporoyu.org(さっぽろ自由学校 遊)

Friday, April 12, 2024

群馬の森裁判/藤井正希さんのインタヴュー記事(一部公開)

 『月刊マスコミ市民』663号(20244月)に掲載された藤井正希さんのインタヴューの一部を、編集部及び本人の了解を得て、以下に公開します。

最新号のため、全部ではなく一部の公開にとどめます。

このインタヴューは本年3月に行われました。聞き手は同誌編集部の石塚さとし編集委員です。雑誌が刊行されたのは本年41日です。出版記念会が開催された46日よりも前に出版されたものです。

<藤井正希/群馬の森・朝鮮人追悼碑強制撤去問題を問う

政治的中立性を過度に強調すれば、公の場での政治的発言はできなくなる>

『月刊マスコミ市民』663号(2024年4月)より

全文は4656頁に掲載。

以下に公開するのは、そのうちの5053頁の部分です。

記事全体は以下の構成です(小見出しを列挙します)。

・些細なルール違反で追悼碑を撤去した

・右翼の攻撃に屈した群馬県知事

・追悼碑の前をスピーカーズコーナーに(*公開部分です)

・敵対者が混乱させると言う理由で表現を規制してはならない

・憲法の理念をさらに発展させること


■追悼碑の前をスピーカーズコーナーに

 

――次に、パブリックフォーラム論について伺います。パブリックフォーラム論は、公共の広場における表現の自由や集会の自由に可能な限り配慮すべきとするアメリカの理論ですが、とりわけ道路や公園など伝統的パブリックフォーラムにおいての表現活動は、原則として許されなければならないと思います。これについて、少し説明をしていただけますか。

 

藤井 日本では、これまではむしろその逆だったのではないでしょうか。駅前とか公園とか広場とか、人が集まる場所ではむしろ政治的発言をしてはいけなくて、その時の理由として政治的中立性が持ち出されてきたのではないかと思います。なぜ政治的中立でなければいけないのかといったら、政治的なことをすれば混乱が生じてしまい、都市公園が市民の憩いの場ではなくなってしまうというのです。駅前のように人が通っている所で演説をすれば交通の妨げにもなるし、政治的な激論をすれば混乱が生じて公共の利益に反するといって、むしろそういう場ではやってはいけないと言われます。

 けれども、アメリカのパブリックフォーラム論でいうとそれは逆なのです。むしろ、人が集まる公園とか広場とか駅前とか公道といった場所こそ、表現の自由、特に政治的な表現を認めなければいけないのです。広場や駅前や公道において、政治的表現の自由が認められた独裁国家はありえないことを銘記すべきでしょう。

 たとえば、イギリスの国立公園のハイドパークにはスピーカーズコーナーというのがあって、そこは誰でも政治的な発言ができるのです。たとえば、むしろ群馬の森の朝鮮人追悼碑のようなところこそスピーカーズコーナーにして、慰安婦が本当にいたのか、朝鮮人の強制連行があったのか、関東大震災の時の流言飛語によるデマで朝鮮人の虐殺があったのかを、追悼碑の撤去を求める人も含めて自由に議論できるようにすればいいのです。

 しかし、日本における行政では、政治的な表現をしないことが政治的中立性だと考えられています。だから政治的な表現をしてはいけないというのです。たとえば、テレビのニュースキャスターが政権に批判的なことを言うと中立性に反すると言われますし、国立大学の授業でも、学生に対してあまり政権批判的なことを言うと政治的中立性がないと言われます。政治的中立性というのは、自分の政治的意見を言わないことではなくて、自分の政治的な意見をはっきり言う一方で、相手の反対意見を無碍に否定しないことです。発言の機会を認めて尊重するのが政治的中立だと思うのです。そういう発想から、公的な広場こそ政治的発言を認めなければいけないと思います。

 2019年の参議院選挙の時に、街頭演説で野次の取り締まりがありました。「安倍やめろ」と言った人が警察官に排除された事件です。確かに、安倍首相の訴えを聞きたい人が集まっているので、安倍首相が演説している時に大きな声で妨害するのはよくないと思います。しかし、そういう時はただただ排除するのではなく、安倍首相に対して何か言いたい人にもその場で発言の機会を可能な限り認めるべきだと思います。

 私はヘイトスピーチをある程度規制した方がいいと思いますが、ヘイトスピーチをしている人にも言いたいことがあるわけです。だからヘイトスピーチを規制するのであれば、別に言う機会を認めることが必要です。政治的中立性というのは、人の発言を封じることではなくて、意見の異なる発言を認めることです。その場で発言の機会を認めることがどうしてもできないのであれば、別に表現する場を与える手段があっていいと思います。

 

――パブリックフォーラムは民主主義の根幹を成すものだと思います。討論がなければ世論は形成されないわけですから、民主主義を支える根底の部分を、日本の場合はわかっていないような気がします。

 

藤井 「言論には言論で対抗する」ということですね。安倍首相の演説に対する野次でも、演説の後に反対者に主張の機会を与えることができないのであれば、自民党が何らかの手段で反対者に発言の機会を与えるとか、自民党のホームページに反対者の主張を載せてあげるとか、言論には言論で対抗させることです。それはやろうと思えばできると思いますので、政治的中立性をもって封じないことです。

 

――群馬県知事は、そういうことがわかっていないようですね。

 

藤井 知事は県民が知らない間に碑を撤去してしまいました。それは、すべてが闇に葬られてしまったということです。本来、知事がやるべきことは、朝鮮人の追悼碑があったことや撤去に関して争いがあったことを県民に知らせた上で、十分議論の場を設定することです。追悼碑の撤去を求めている市民と、追悼碑を守ろうという市民とが冷静な議論をする場を、一般の市民にも開かれた形で設けて、すべての県民をまきこんだ議論をし、県民の民意を踏まえた上で知事が政治的判断をすべきでした。

 しかし、これまでの日本の行政はそういうことをまったくやってこなかったのです。慰安婦問題にしても、本当に国が解決したいのであれば、元慰安婦の人を呼んで国会で話してもらうとか、韓国の歴史家も含めて冷静な議論をする場を作ることです。それができるのは行政しかないのです。私は、追悼碑の撤去を求める市民団体の人たちともいろんな議論をしたいと思っています。このように市民の中で意見が対立している場合、行政には市民が自由で有益な議論のできる場をぜひ設定してほしいと思います。この点、東京の小池知事は、横網町公園で行われている関東大震災朝鮮人大虐殺の追悼集会に慰霊文を送らなくなりましたが、あの問題でも、朝鮮人犠牲者の追悼碑を守ろうとする人と碑を撤去しようとしている団体とにそのような議論の場を与えることが必要だと思います。

 2014年11月に、「守る会」は更新不許可処分の取り消しを求めて群馬県を提訴しましたが、あの裁判は2011年7月22日の状況を踏まえて、県の更新不許可処分は適法であると判断できると判決しただけのものです。だから、知事は撤去を求める市民団体の人たちと「守る会」の人たちが碑文の内容をどうしたらいいのかの議論をできるようにすればいいのです。このような〝行司役〟ができるのは行政しかないのです。場合によっては外務省の人を呼んだり、また、混乱しないように警察を呼んだりして、行政法で言うところの〝調整的な行政指導〟をやればいいのです。それは法律にも根拠のある手続きです。

 私は歴史学者ではないので、強制連行や慰安婦の問題について「これが歴史の真実だ」と、何かを言うつもりはありません。しかし、強制的に連行されて鉱山などで働かされた人や強制的に性の仕事をさせられた慰安婦がいたこと、あるいは関東大震災の時に流言飛語によってそれなりの人数の朝鮮人が虐殺されたことは、歴史的な真実として教科書にも載っていたことです。私もそのように習ったし、今でも強制連行も慰安婦も朝鮮人の虐殺も歴史的事実だというのが通説でしょう。もしそれを否定するのであれば、理由と証拠をきちんと示して国民的議論を求めなければなりません。何の根拠も示さずに「嘘だ」「デタラメだ」というやり方はよくないと思うのです。

<以上>

月刊マスコミ市民

http://masukomi-shimin.com/