Wednesday, June 24, 2026

安倍晋三暗殺刑事裁判の全貌

浅野健一『石ころを石礫に――安倍氏暗殺・山上徹也さん裁判記録』(三一書房)

https://31shobo.com/2026/03/26002/

 

共同通信社を経て、1994年から2014年まで同志社大学大学院メディア学専攻教授だった著者の法廷傍聴記録である。『犯罪報道の犯罪』(学陽書房)で犯罪報道問題を提起して以来、報道と人権の在り方について徹底した議論を貫いてきた著者である。

半世紀を超える取材歴を有する著者だが、著名重大刑事裁判の公判を全て傍聴取材したのは初めてのようだ。記者クラブに所属していないフリーのジャーナリストが裁判所からこうした取材許可を得ることは珍しい。普通なら、傍聴支援メンバーから傍聴券を融通してもらったり、著名出版社・編集部による手配で、なんとか傍聴できる。今回、著者はフリー・ジャーナリストとして奈良裁判所に申し入れをして、傍聴許可を得たと言う。著者は担当裁判官に感謝を表明している。同じ例が続くことが期待される。

重大事件の裁判傍聴記録は珍しくない。ジャーナリストや、支援する会や、研究者による傍聴記は法廷の様子、重要な論点、裁判の公正さを伝えるために重要だ。とはいえ、中には、傍聴者の主観を中心にした印象記も少なくない。著者は、なによりもまず、法廷の様子を具体的に伝えることに力を注いでいる。この一点だけでも本書は必読書と言えよう。

次に著者のスタンスが明快である。裁判官、検察官、被告人と弁護団、そして証人に対して、事件の歴史的意義を伝える姿勢を中心に据えて、批判的に検証している。裁判所に期待する面と、裁判所を批判する面がある。同様に、被告人の経歴や立場や心情に想いを寄せつつも、被告人の犯行には批判の目を向ける。他の取材陣に対しても注文を付ける(この点で、著者は周囲の反感を買うことがあるようだが、ジャーナリズムは仲良しクラブではない)。

著者の主張の最大のポイントは、被告人の陳述、弁護団の懸命の努力にもかかわらず、裁判所の判決が、事件を矮小化して被告人の責任だけに絞り込んだことへの批判である。安倍晋三と統一協会の関係に蓋をすることによって事件の真相を闇の彼方に封じ込めようとする。

著者は、殺人は許されないが、政治批判目的の殺害行為は「暗殺」事件であり、その背景を徹底的に明らかにする必要があると言う。安倍晋三とは何者なのか。何をしたのか。さまざまな政治腐敗の中心にいて、腐敗を加速させた張本人ではないのか。安倍晋三と統一協会の関係を徹底解明するべきである。しかし、検察官と裁判所はこの責任に背を向けた。著者はこの点を繰り返し問う。

歴史的事件には歴史的ジャーナリズムが必要だ。安倍晋三暗殺という歴史的重大事件に迫る本物のジャーナリズムが必要である。著者の歩みは続く。

Tuesday, June 23, 2026

ノー!ハプサ(NO!合祀)第3回口頭弁論報告集会&シンポジウム

 ノー!ハプサ(NO!合祀)第3回口頭弁論報告集会&シンポジウム

 

717日(金)

衆議院第一議員会館大会議室(地下1階)

 

13時:入館証配布

1330分:第1部 報告・記者会見

1430分:第2部 シンポジウム

「1.      17最高裁判決――三浦裁判官反対意見の“衝撃”」

パネリスト

稲 正樹(元国際基督教大学教授)

前田 朗(東京造形大学名誉教授)

浅野史生(ノー!ハプサ弁護団)

参加無料

 

連絡先:

E-mail:nohapusa@yahoo.co.jp

電話:090-92047607(山本)090-24665184(矢野)

Sunday, May 24, 2026

平和をつくるオンライン講座<第6回>「日本の軍事大国化と高市政権――対抗の構想」

 平和をつくるオンライン講座<第6回>

2月の衆議院選挙で大勝した高市政権は、防衛費倍増、武器輸出3原則破棄(殺傷兵器輸出等)、安保3文書改定、そして1年後の改憲発議へ向けて暴走しています。憲法の平和的生存権と9条(戦争放棄)を掲げてきた平和運動は正念場に立たされています。高市政権は日本をどこへ連れて行こうとしているのか。私たち平和運動は何を成すべきか。ともに考えましょう。

7月3日(金)19時~21時

「日本の軍事大国化と高市政権――対抗の構想」

講師:浜恵介(立教大学兼任講師)

1976年広島市生まれ。日本現代史・戦後政治史・平和学を専攻。自治体職員の経験を活かし、平和学と地方自治を融合させるべく、自治体レベルでの「プラグマテック」な非核化の構築などについて、研究を進めている。

参加無料

希望者は、7月1日までにEメールで申し込んでください。

ZOOMURL)をお知せします。

主催:「無防備地域をいま、改めて考える」実行委員会:090-4092-8581(土橋)

平和力フォーラム:070-23071071(前田)

ZOOM申込み先:E-mail: akira.maeda@jcom.zaq.ne.jp

E-mail: akio-t@e-mail.jp

Saturday, May 23, 2026

茅ヶ崎連続市民学習会・第三回 フェミサイドとは何か

茅ヶ崎追悼会2026年度連続市民学習会・第三回

フェミサイドとは何か

その原因と対策

講師:前田 朗

7月5日(日)14時~1630分(1330分開場)

会場:茅ケ崎市立図書館第1 会議室

   アクセス 茅ヶ崎駅南口から徒歩5

・参加費 資料代:500円 (学生・障がい者無料)

202511月、イタリアはフェミサイド刑法を制定しました。欧州で4つめの立法例ですが、中南米では10数か国で制定されています。人を殺せば「殺人罪(homicide)」です。女性であるがゆえに標的とされた場合や、性暴力を伴う場合など、一定の場合にフェミサイド(ミソジニー殺人)として、刑罰を重くするのが国際的な流れです。

 フェミサイドは男性中心の思考が生み出した「男性問題」です。フェミサイドとは何か。その原因はどのように考えられるか。各国における調査と研究はどのように進んだか。フェミサイドの法的定義はどのようなものか。各国のフェミサイド刑法はどのような特徴を有するか。国際人権法から見るとどう評価できるか。ともに考えましょう。

 主催 関東大震災茅ヶ崎での朝鮮人虐殺犠牲者を追悼する市民の会

共催  ビースカフェ ちがさき

協力  ソーラーハウスにしかわ

予約  定員72名

お開合せ/電話お申込先 090-8815-0150(あまの)

0467-53-4448(おごせ)

Tuesday, May 19, 2026

RAWAと連帯する会連続学習会 (第2回)フェミジェノサイドとは何か

RAWAと連帯する会(東京)連続学習会

フェミサイドとは何か――その原因と対策のために

(第2回)フェミジェノサイドとは何か

 

◉ 26627日(土)1830分~2030

会場:東京ボランティア市民活動センター会議室(飯田橋RAMLA10階)

・講師:前田 朗

・参加費(資料代含む):500円 

<第2回の論点>

日本の状況(日本軍「慰安婦」問題、沖縄米兵性暴力事件)。植民地主義とフェミサイド(マイノリティ、先住民族、被植民地人民)、国家による女性に対する暴力、フェミジェノサイド、ジェンダー・アパルトヘイト、アフガニスタン女性に対する迫害。アフガニスタン女性革命協会(RAWA)。

<参考文献>

*以下は当日の配布資料の一部です。

   前田朗「フェミサイド研究のためのメモ(3)<国連麻薬犯罪事務所と国連ジェンダー平等・女性エンパワーメント部局作成『女性と少女のジェンダー関連殺害(「フェミサイド/フェミニシド」とも呼ばれる)を測定するための統計枠組み』>の紹介」

    前田朗「フェミサイド研究のためのメモ(7)<ロビン・ブルジョワ論文「植民地フェミサイド――カナダにおける行方不明及び殺害された先住民女性と少女」>の紹介」

   前田朗「フェミサイド研究のためのメモ(9)<リタ・セガト&リヴィア・ヴィテンチ論文「フェミジェノサイド」>の紹介」

   前田朗「植民地主義とフェミサイド」『部落解放』880号(20263月)

<私も協賛します>

伊藤和子(弁護士) 大森典子(弁護士) 岡野八代(同志社大学大学院教授) 清末愛砂(室蘭工業大学大学院教授) 辛淑玉(ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク共同代表) 杉浦ひとみ(弁護士) 高良さちか(参議院議員) 竹信三恵子(ジャーナリスト、和光大学名誉教授) 角田由紀子(弁護士) 福島みずほ(参議院議員)

水戸事件や池袋事件のように、女性を標的とした殺人事件が続きました。国際的には「フェミサイド(femicide)」と呼ばれますが、日本ではフェミサイドという言葉が共有されていません。

202511月、イタリアはフェミサイド刑法を制定しました。欧州で4つめの立法例ですが、中南米では10数か国で制定されています。人を殺せば「殺人罪(homicide)」です。女性であるがゆえに標的とされた場合や、性暴力を伴う場合など、一定の場合にフェミサイド(ミソジニー殺人)として、刑罰を重くするのが国際的な流れです。

フェミサイドは男性中心の思考が生み出した「男性問題」です。フェミサイドとは何か。その原因はどのように考えられるか。各国における調査と研究はどのように進んだか。フェミサイドの法的定義はどのようなものか。各国のフェミサイド刑法はどのような特徴を有するか。国際人権法から見るとどう評価できるか。ともに考えましょう。

*主催:RAWAと連帯する会

*共催:平和力フォーラム

E-mail: akira.maeda@jcom.zaq.ne.jp

電話:07023071071(前田)

Thursday, May 14, 2026

多彩な憲法読本にじっくり学ぶ

多彩な憲法読本にじっくり学ぶ

 

①清水雅彦『シン・ケンポウ――やさしく学ぶ日本国憲法』(同時代社)

②五十嵐仁・小沢隆一編『憲法を「そもそも」から学び活かそう』(学習の友社)

 

高市政権は憲法改悪に向けて奔走している。さしたる必要性もなく、緊急事態を口実としたお試し改憲だ。中身を問わず、とにかく改憲することが目的化している。

今春、全国各地で改憲反対の平和運動・人権運動が闘われた。9条の会、護憲の会、市民団体、労働団体をはじめ多様な団体や個人が憲法改悪にNO!をつきつけた。そんな中、個性的な憲法読本が相次いで出版された。

   清水雅彦『シン・ケンポウ――やさしく学ぶ日本国憲法』(同時代社)

https://www.doujidaisya.co.jp/book/b10165930.html

<国家? 国民? 人権? 天皇制? 「改憲」? 「護憲」?

憲法論議をまえに、まさひこ先生が50のギモンに答えます!

私たちの未来のために、いまこそ憲法をマスターしよう!>

「憲法は国家を縛るもの」「私は「改憲派」ですが」「「日本人ファースト」のここが問題!」「不健康に生きる権利もある!?」「「君が代」は歌わなくていい」などの50項目が見開き2頁で解説される。読みやすい解説に加えて、あべのりこによるイラストが付されている。「私は「改憲派」ですが」のイラストでは、まさひこ先生が憲法から「天皇」条項を破り捨てている。

50番目は「日本国憲法、やめますか?」で、「憲法9条を変えて日本は『戦争する国』する国になりますか?」である。

著者は日本体育大学教授で、戦争をさせない1000人委員会事務局長代行、九条の会世話人である。

著者とは30年来の付き合いだ。かつて湾岸戦争に日本政府が1兆円の拠出をしたことに反対して、市民平和訴訟を提起した。著者も私も原告団に加わった。それ以来、いろんな場面で著者に学ばせてもらっている。

   五十嵐仁・小沢隆一編『憲法を「そもそも」から学び活かそう』(学習の友社)

 https://gakusyu.hateblo.jp/entry/2026/04/22/115958

<いま日本の人びとの間で、なぜこれほどまでに「憲法についての理解」が定着していないのでしょうか。選挙があるたびに、また政治家の「不祥事」が起こるたびに、そしてショックな事件が発生するたびに、そう思いませんか。……憲法について「そもそも」から学んでみて、それを本当に知る必要がないのか、もうわかりきっていることなのか、それとも自分のふだんの考えや姿勢にどこか「足りない」ところがないのか、考えてみませんか。>

 2025年の1年間、月刊誌『学習の友』に連載された文章に、数章の書下ろしを加えて単行本にしたものである。

 構成や叙述はオーソドックスなものだが、最近はこうしたオーソドックスな著作が減っているので、むしろ新鮮に感じられる面もある。「第Ⅰ部 憲法の歴史に学ぶ」の「第1章 近代憲法の意義について」と「第2章 19世紀における「憲法をめぐるたたかい」」は、近代憲法の統治原則や人権条項の形成を歴史的に描き出しているが、そこでの視点は自由と権利と民主主義を求める民衆の闘いである。

 これに呼応して、「第Ⅴ部 憲法をわれらの手に」の「第17章 憲法を将来世代に託す「若者」と憲法」は、私たちの世代の責任で憲法の民主的条項を活かし、発展させ、さらに将来世代に継承していく課題が明記されている。そして、驚いたことに、日本国憲法97条が丸ごと引用されている。97条を引用するのは当たり前のことに見えるかもしれない。しかし、ここ数年に出版された憲法教科書には97条の引用を見ることができない。憲法11条の引用も珍しい。11条と97条には「将来の国民」が明記されている。だから、憲法11条を引用する際に、ある憲法教科書は「将来の」の3文字を削除しているほどだ。

 私は従来からこの点を重視して、「将来の世代の人権」という論文を書くなど、しつこく強調してきた。しかし、憲法学者からの反応はない。

 本書には私の名前も一度だけ登場する。表現の自由とヘイト・スピーチをめぐる記述の中で、前田朗『人権再入門』(学習の友社)が引用されている。

 本書のスタンスはとても重要である。歴史に学び、民衆の闘いに学び、憲法の基本理念を将来の世代に引き継ぐという、当たり前のように見えて難しい課題に正面から向き合っている。

 編者の小沢隆一とは、40年来の付き合いだ。はじめて会ったのは院生時代で、民主主義科学者協会法律部会の東京の研究会であった。それ以来、大いに学ばせてもらっている。

 ゴールデンウィークが終わり、国会では憲法改悪に向けた議論が進められている。高市政権は、改憲しようがしまいが、憲法破壊の意思に揺るぎがない。

 2冊の憲法読本に学んで、あらためて憲法とは何か。日本国憲法とは、平和主義とは、平和的生存権とは何かを、じっくり考えたい。

 

 

 

Sunday, May 10, 2026

インタヴュー講座・脱植民地主義のために(第4回)

インタヴュー講座・脱植民地主義のために(第4回)

敗戦80年を経て、日本の政治社会は過去の侵略戦争と植民地支配を忘却し、日本人の戦争被害だけを語ります。歴史の風化と浸蝕が進んでいます。植民地主義は過去の歴史ではなく現在の「日本問題」です。過去を問い直しながら現在と将来の課題に挑む必要があります。

今回は、朝鮮植民地支配の端緒となった1905年条約の国際法的評価を取り上げます。植民地支配を合法としていた時代ですが、韓国併合は当時の国際法にすら違反していたのではないでしょうか。

日時:25日()午後6時半~8時半(6時開場)

会場:東京ボランティア市民活動センター会議室JR飯田橋駅隣RAMLA10階)

1905年韓国保護条約の法的評価をめぐって

――歴史学と国際法・過去と現在との対話

康成銀さん

*講師プロフィル: 歴史家(朝鮮近代史専攻)。朝鮮大学校歴史地理学部長・図書館長・朝鮮問題研究センター長・副学長を歴任。現在は朝鮮大学校朝鮮問題研究センター研究顧問。主著に『朝鮮の歴史から「民族」を考える―東アジアの視点から』(明石書店)『一九〇五年韓国保護条約と植民地支配責任』(創史社)『康ソンセンニムと学ぶ朝鮮と日本の2000年』(スペース伽耶)等。

参加費(資料代含む):500

 

主催:平和力フォーラム

連絡先:07023071071(前田)

E-mail:akira.maeda@jcom.zaq.ne.jp