ニュージーランド政府が人種差別撤廃委員会に提出した報告書(CERD/C/NZL/21-22.
20 April 2016)によると、出版物、配布文書、公然と語った言葉を通じて、皮膚の色、人種、又は民族的国民的出身に基づいて人の集団に対する敵意を昂揚させ、又は侮辱を引き起こすことは違法である。報告書の対象期間に、人権委員会は人権法61条の申立てを243件受理した。
ヘイト・スピーチという特定の犯罪でない場合、人権法131条は人種的不和を煽動することを犯罪としている。対象期間には訴追事例はない。
2002年の量刑法のもとで、人種、皮膚の色、又は国籍のような共通の特徴を有する人の集団に向けて敵意ゆえに犯罪が行われた場合、刑罰加重事由となる。
2015年の有害なディジタル・コミュニケーション法は、いじめ、ストーキング、ハラスメント、悪意による物まね、重大な脅迫を対象とする。ディジタル・コミュニケーションを通じた人種憎悪の煽動は禁止されている。
2013年の不愉快な出版及びわいせつ法によると、子どもからの搾取を含むような不愉快な出版を犯罪としている。人種差別的な出版物も対象である。
*
前回の2013年報告書については『ヘイト・スピーチ法研究序説』第8章第14節参照。 2015年法及び2013年法については今回初めて報告されたが、内容があまり詳しくない。