瀧大知「差別団体による『選挙ヘイト』――その実態と市民の抵抗」『IMADR通信』
200号(2019年)
2019年4月の統一地方選挙における「選挙ヘイト」について、川崎市と相模原市の状況を中心に紹介し、これに対する市民のカウンターについても報告する。選挙の場合、公職選挙法による「選挙妨害罪」という壁があるためカウンター側も頭を悩ませてきたが、今回は地元市民やカウンターが集まり、身体を張ってヘイトデモを止めた。瀧は、市民による抗議でヘイトを止めた意義を強調しつつも、「そもそもとして差別を煽動するような人物が選挙に出られること、そのものが問題ではないか」として、差別禁止法の必要性に言及する。
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選挙妨害罪の壁はたしかに気になった。だが、国際人権法でも、諸外国の法制でも、重大なヘイト・スピーチは犯罪だから、選挙であろうと何であろうと許されない。瀧が言うとおり、身体を張ってヘイトデモを止めたのは正当だし、やはり包括的な差別禁止法が必要だ。