Monday, January 27, 2014

「ブラック企業」批判・今野晴貴講演報告

1月27日は「八王子労政会館の存続を求める会スタート集会」に参加した。東京都の方針「2020年の東京都」において、八王子の労働相談情報センターを立川に予定されている東京しごとセンター多摩に統廃合することが示された。それに伴い八王子労政会館は廃止だという。八王子労政会館は、地域の労働組合や、市民運動・平和運動、卓球その他のスポーツ・文化活動の拠点である。JR八王子駅や京王八王子駅からも近く、便利なため、多くの団体が長年重宝してきた施設だ。これがなくなると、八王子の市民運動・平和運動が多大な打撃をこうむることは必至。ということで、この間、準備を進めてきて、本日スタート集会だ。                                                               講演は、昨年の流行語「ブラック企業」でいま旬の著者・研究者の今野晴貴さん。著書『ブラック企業』や『ブラック企業ビジネス』はこのブログでも紹介した。2006年、中央大学法学部在学中に、若者のための労働相談のためPOSSEを立ち上げ、現在は一橋大学大学院で社会学・雇用政策を研究している。つまり、八王子に縁があり、当時は八王子の市民運動に参加し、一緒にデモをやっていた仲間である。講演は「八王子労政会館廃止になぜ反対するのか」と題しているが、ブラック企業など、労働状況が非常に悪化している現在、労政会館、労働相談所はますます重要になっているのに、労政会館を廃止するのは逆行しているという流れである。ブラック企業については、まず、若者の意識や行動様式を批判する現代若者論の誤りを次々と明快に説明し、その上で、ブラック企業とは何か、どのような業界に多いか、それはなぜかを論じた。ITなど新興成長産業にブラック企業が多いのは、急成長した企業で適正な労使関係を形成することなく、社長の独裁など、いびつな労務管理が行われているためである。実際の相談に基づいているので具体的で説得力があると同時に、ジャーナリストではなく研究者らしく、事例を分析する視点がしっかりしている。現代資本主義論、雇用政策、労務政策の変容の仲でのブラック企業という観点が重要だ。最前線で闘う理論家だ。講師の今野さんは30歳だが、参加者はたぶん平均年齢50~60歳。質疑応答では、年配者から次々と質問が出たが、今野さんはしっかり手堅く答えつつ、わからないところはわからない、これから研究しなければならないと答えていた。                                                                          講演後、スタート集会ということで、八王子労政会館の存続を求める会が発足した。