Wednesday, December 24, 2014

マルクスの「国家死滅後の世界」をめぐって

的場昭弘『マルクスとともに資本主義の終わりを考える』(亜紀書房)
 
10年前に『マルクスならこう考える』を出した著者による資本主義論、グローバル世界論である。現在の資本主義の現実に「危機」を見て、「反資本主義の趨勢」を確認する著者は、資本主義の発展・肥大化が必然的にもたらす世界的矛盾を分析する。中国とロシアと言う反資本主義や、北アフリカ、中東、中央アジア、東アジア、東欧の混乱と紛争の現実に向かう。アラブの春や、真理の爆撃、世界再編の必要性を示す過剰資本と過剰生産、そして利潤率の傾向的低落を検証したうえで、「小さな社会」の構想を打ち出す。
「国家権力を超えるところにグローバリゼーションのもつ魅力、すなわちコスモポリタンのもつ魅力があるともいえるのです。しかし、すべての人が個性を失い、世界市民化した姿に、むなしさを感じるのも当然です。お互いが多様であるという言も、民主主義の重要な概念だからです。差異が保障されながら、全体が調和する社会、それは果たして可能なのかどうか。そうした方向はグローバル資本主義がもたらすことなのかどうか。それともそれに反対する運動がもたらすものか。」
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著者の『待ち望む力』について

http://maeda-akira.blogspot.jp/2013/08/blog-post_8.html