Thursday, June 13, 2019

鹿砦社・松岡利康さんへのお詫び


松岡利康さん



鹿砦社発行の『NO NUKES Voice』第20号を拝見しました。「総力特集・フクシマ原発訴訟 新たな闘いへ」の冒頭記事は、本年4月20日に私たちが新横浜のスペースオルタで開催した「フクシマ原発集団訴訟の判決を巡って――民衆の視座から」の記録です。かながわ訴訟弁護団事務局長の黒澤知弘さん、小出裕章さん、崎山比早子さん、かながわ訴訟原告団団長の村田弘さんの発言要旨を掲載していただきました。素晴らしい雑誌企画に感謝申し上げます。



さて、今回は謝罪のお手紙となります。



先に「鹿砦社・松岡利康さんへの返信(3)」(6月9日)において私は次のように書きました。



「鹿砦社と松岡さんの愛用する手法にアポなし突撃取材があるように思います。権力相手には有効な手法と言えます。しかし、これを個人相手に多用するのはいかがなものかと思いませんか。最初は被害者救済の立場だったのが、代弁者となり、さらには完全に当事者になって突撃取材結果を出版し続ける方法は、一種の炎上商法ですよね。それも一つの手法ですから、とやかく申し上げることではないかもしれませんが。」



「炎上商法」という言葉を出版人に投げつけることは適切とは言い難いため、6月11日にこの表現を撤回させていただきました。その際、簡潔な理由を示しましたが、十分な説明とはなっておりません。



また、上記の一節を書いている途中で、公開のメーリングリストであるCMLでの意見交換の中で、同様に「炎上商法」という言葉を用いました。CMLの公開掲示板に掲載されています。

[CML 056005] Re: 鹿砦社・松岡利康さんへの返信(2)


これは下記の投稿への返信です。

Re: [CML 055942] 鹿砦社・松岡利康さんへの返信(2)




以上の2つの発言について、改めて事実確認をするとともに、お詫びいたします。



第1に、炎上商法という言葉は、5冊の本を念頭に置いて書いた言葉ですが、これは事実に反するため不適切でした。



5冊の本は、孤立した被害者を救済するとともに、本件の問題を社会に訴えるためのものであり、強い志をもって出版された著書です。このことを無視する表現は不適切でした。



第2に、「一種の炎上商法ですよね。」という表現は軽いジョークのつもりでした。ところが、これはジョークになっていません。



この表現のすぐ前に私は、『パロディのパロディ 井上ひさし再入門』を紹介して、パロディ、ギャグ、コメディ、風刺、漫談、諧謔に触れています。そのノリで軽いジョークのつもりで書いたわけですが、今回の松岡さんとの往復書簡の趣旨からいって、ジョークと受け止めていただける表現となっていません。文脈から見ても、パロディやジョークとは言えません。「パロディ作家としてはまだまだ未熟ですが」と書きましたが、まさに未熟ゆえに、この誤りを犯したものです。



また、CMLの投稿は、そうした流れとは無関係ですので、いっそう不適切な表現でした。いずれも不当な言いがかりです。大変失礼いたしました。



第3に、読み手にしてみれば、鹿砦社と松岡さんの出版活動全体に対する揶揄として受け止める可能性があります。当該5冊についての言葉とはいえ、十分に限定されていないこと(しかも内容が事実に反することは上述のとおり)から、「そんなつもりはなかった」と言っても弁解とはなりえません。



先に『テロリズムとメディアの危機』を例示した通り、鹿砦社と松岡さんの言論活動を、その一部とはいえ、それなりに承知していたのですから、炎上商法といった言葉を用いるべきではありませんでした。冒頭に触れた『NO NUKES Voice』にも、これまで大いに学ばせていただいておりました。脱原発運動を牽引する雑誌にいちゃもんをつける形になったことを反省しております。



権力による弾圧に抗して闘ってこられた鹿砦社と松岡さんの言論活動に対して、敬意を表すべきところ、余計かつ不適切な一言で不愉快な思いをさせたことは大きな失敗でした。



また、鹿砦社の皆さん、執筆者その他関係者の皆さんにも不愉快な思いをさせてしまいました。関係者の皆さんにも深くお詫びいたします。



第4に、このような表現を用いた背景には、この間の松岡さんとのやり取りの中でいささか「反発」を覚えていたために、「一言言っておいてやろう」というような思いがあったのかもしれません。邪念と軽率が災いして、不適切な言葉となってしまった訳です。



以上のことから、鹿砦社と松岡さんに謝罪するとともに、改めて撤回させていただきます。申し訳ありませんでした。



このような型通りのお詫びだけでは不十分かもしれませんが、今回はとにかくお詫びの気持ちをお伝えすることにしました。



なお、別件では、すでに私から申し述べたいことは前便で書き終えております。今回のことで松岡さんには大変ご迷惑をおかけしましたので、いまや発言する資格もなくなったと思います。



従いまして、松岡さんへの返信もこれで終了とさせていただきます。しばらく頭を冷やしてから出直したいと思います。これまでご教示、ご指摘ありがとうございました。



後味の悪い結末になりましたこと、ひとえに私の責任ですので、重ね重ねお詫びいたします。



ありがとうございました。



松岡さんと鹿砦社のますますのご発展、ご活躍を祈ります。