Friday, December 20, 2019

『今、在日朝鮮人の人権は – 若手法律家による現場からの実践レポート』


朝鮮大学校政治経済学部法律学科創設20周年記念誌刊行委員会編著

『今、在日朝鮮人の人権は若手法律家による現場からの実践レポート』

(三一書房、2019年)

https://31shobo.com/2019/10/19009/



1999年4月、朝鮮大学校政治経済学部に法律学科が新設された。日本の法律を学び、在日朝鮮人の人権を獲得するために法的素養を身に着けるための学科である。それから20年、今年11月には20周年記念式典が催され、今月、本書ができあがった。執筆者は9人だが、うち8人が法律学科卒業生の弁護士、1人は法律学科設置前に朝鮮大学校を卒業して教員となった憲法学・朝鮮法学研究者である。

<執筆者>順不同

金敏寛、裵明玉、康仙華、金星姫、金銘愛、金英功、任真赫、玄政和、李泰一



目次は次の通り。

第1章 今、在日朝鮮人の人権は――問題の本質と状況

第2章 無年金問題――在日コリアン高齢者無年金国家賠償請求訴訟

第3章 民族教育を守る闘い――高校「無償化」からの排除と補助金打ち切り

第4章 ヘイトスピーチによる人権侵害――京都における被害の状況と対抗運動

第5章 経済制裁と在日朝鮮人に対する圧力



1章では日本国家による朝鮮人差別政策を歴史的に検証し、基本的人権を剥奪されてきた実態を再確認するとともに、人権擁護のための闘争の必然性を説く。

2章以下では、それぞれのテーマに即して、現在も続く朝鮮敵視政策と朝鮮人差別政策の本質を抉りだし、民族のアイデンティティを守り、民族教育権を擁護・獲得・実践する各地の朝鮮人の闘いを憲法や国際人権法を基礎に再構築しようとする。

本書は在日朝鮮人法律家による在日朝鮮人のための在日朝鮮人の人権擁護闘争の書である。

マイノリティの生きざまを無視し、自由と人権を軽視し、マジョリティの「特権」に胡坐をかいたままの日本憲法学に対する痛烈な批判の書でもある。