12日午前、国連人権理事会諮問委員会は、ハンセン病患者の人権に関するパネルを開催した。日本政府と日本財団が協力して、アジア、アフリカなどで治療や、差別と排除への対策を続けてきた成果の報告。それ自体は善いことだが、日本政府がやっていることを諮問委員会に持ち込んで、諮問委員会の審議時間を奪っているだけだ。日本政府が力を入れていることは人権理事会でアピールするべきだろう。諮問委員会は限られた時間の中で専門家の討論を進めることに意味がある。途中、朝鮮TVが来て、11日の私の発言「地方自治体とヘイト・スピーチ」についてインタヴューを受けた。
12日午後、人種差別撤廃委員会を傍聴した。チェコ政府報告書の審議。反差別法とヘイト・スピーチ処罰刑法がある。委員の質問の多くがロマの人権、教育、就労、言語に集中した。
13日午前、レマン湖の遊覧船観光。
13日午後、国連人権理事会諮問委員会。委員会が今後取り上げるべきテーマ、議題についての議論。気候変動と人権、2015年以後の人権の主流化、地域的人権機関、宗教侮辱に関するグローバル・フォーラムなどの準備ペーパーの紹介。
地域的人権機関は、ソ・チャンノク委員(コリア大学教授)が提案している。欧州人権条約、アメリカ人権条約、アフリカ人権憲章があるのに、アジアにはない。既存の人権条約と人権裁判所の成果を確認し、アジアにおける人権機関を作るにはどうするべきか、東南アジア人権宣言などの成果も踏まえて、展望を探るというもの。日本政府が反対しそうだ。日本政府推薦の小畑委員が発言し、「グローバルな人権(機関)と地域的人権(機関)とは緊張関係に立つことがある」と強調していた。
宗教侮辱に関するグローバル・フォーラムは、スーフィ委員が提案。シャルリ・エブド事件のように、宗教侮辱がきっかけとなって重大犯罪が起きる事例が続いているので、人権の観点から光を当てて、世界的フォーラムを開くべく準備を。もっとも、他の委員からは消極的な意見も出た。また、「19条」という名のNGOが反対意見文書を配布していた。「19条」とは国際自由権規約19条の意見・表現の自由のこと。このNGOは表現の自由擁護を掲げ、表現の自由を制約するかもしれないことには反対意見を述べる役回り。スーフィ委員は規制強化を唱えているわけではないが、それでも反対と主張している。
事前に準備された提案以外に、エルサダ委員が「植民地主義が人権に与える影響」を再提案した。以前、提案してペンディングになっていたので再提案し、次回委員会に提案文書を出すことになった。これは重要。