政府が人種差別撤廃委員会に提出した報告書(CERD/C/SUR/13-15. 11
April 2014)によると、刑法は二つの犯罪カテゴリーを区別している。第一のカテゴリーでは個人の共同体としての社会が中心であり、法によって保護される社会の権利や利益の侵害を生じる行為を含む。第二のカテゴリーでは個人が中心であり、個人の権利と自由、人格や財産の侵害を生む行為が含まれる。全ての犯罪は人権と自由の侵害であり、国際文書に含まれるのと同様、刑法に従って処罰される。殺人、傷害、虐待、誘拐、拘禁、強姦、侮辱、不法侵入は犯罪である。横領、腐敗、偽造、怠慢なども犯罪である。
条約第四条に関する政府報告書の記載は、以上のように極めて一般的で要領を得ない。
条約第二条に関する記述を見ると、刑法第一七五条及び第一七六条(b)には、人種差別を促進・煽動する団体を禁止する明示規定はないが、刑法第一八八条によれば、犯罪を行う目的を有する団体への参加は処罰されると言う。それゆえ、人種差別を促進・煽動する行為を行った諸個人は個人として処罰される。人種差別を促進・煽動することを目的とする団体の設立は許されていない。ただ、条文の具体的内容は不明である。
条約第三条に関する部分に憲法の規定が紹介されている。憲法第八条は、出生、性別、人種、言語、宗教、出身、教育、政治参加、経済的地位又は社会的条件その他に基づく平等と非差別を規定する。憲法第七条は、スリナム共和国が、植民地主義、新植民地主義、人種主義、ジェノサイドと闘い、国民の自由、平和、社会進歩のために闘う他国の人々との連帯と協力を促進する、としている。