Tuesday, August 14, 2018

人種差別撤廃委員会非公式会合


8月14日午前、人種差別撤廃委員会は、今週に審査対象となった国に関連するNGOとの非公式協議を行った。モーリシャス、キューバ、日本である。
人種差別撤廃委員会は、条約を締結した国が提出した報告書を審査する。しかし、委員は世界各国の実情を知っているわけではない。そこで、NGO報告書が重要な役割を果たす。政府報告書とNGO報告書を対比することで実情が見えてくる。このためNGO報告書の提出が認められてきたが、さらにNGO報告書の提出から直接話を聞く機会を設定した。それが非公式会合である。名称は非公式会合だが、委員会のスケジュールに組み込まれ、通常の会合と同様に3時間かけて行われる。
14日午前の非公式会合では、モーリシャス、日本、キューバの順でNGO代表がそれぞれの関心事項を委員会に口頭で報告した。以下、日本関連。
日弁連は、日本政府が条約の個人通報制度を受け入れていないこと、家庭裁判所の調停委員に国籍条項が適用されていること、ヘイト・スピーチ解消法には限界があり包括的な人種差別禁止法が必要であることを述べた。外国人人権法連絡会は、ヘイト・スピーチ、ヘイト・クライムの実情を報告した。朝鮮総連本部銃撃事件のようにヘイト・クライムがおきている。インターネット上のヘイト・スピーチも野放しである。人種差別撤廃NGOネットワークは、政治家や公務員による人種主義的発言を麻生太郎発言や大阪府警「土人」発言を例に報告した在日本朝鮮人人権協会は、朝鮮学校の高校無償化除外や助成金差別、出入国管理における朝鮮人差別を報告した。民団は、外国人の選挙権問題、及び関東大震災朝鮮人虐殺の否定問題を取り上げた。Wam(女達の戦争と平和資料館)は、日本軍性奴隷制に関して真実と記憶の権利を語った。移住者と連帯する全国ネットワークは、技能実習生問題、移住女性に対するDV問題を報告した。反差別国際運動は、部落、アイヌ、琉球に対する差別、女性に対する複合差別を取り上げた。
続いて、北海道の団体から、小野寺まさるという元道議会議員(?)が、アイヌ民族は先住民族ではないという独自の主張を展開した。さらに、日本への根拠のない批判を是正する学者連合の山下英次が、日本は100年前から人種差別に反対してきた、人種差別反対の先頭は日本であり、イギリス・アメリカによって日本人が差別されてきた、などと主張した。
その後、委員から、モーリシャス、日本、キューバにそれぞれ多数の質問が出て、質疑応答が行われた。日本担当のボスユイ委員(ベルギー)は、委員会に提出されたNGO報告書の全体を整理し、そのなかに、市民社会からの健全な報告書と、妙な報告書があると分けていた。今回、在特会などいくつかのレイシスト集団が報告書を出しているので、そのことであろう。
日本政府報告書審査は16日午後と17日午前である。