Thursday, August 23, 2018

エテル・アドナンのタペストリ


パウル・クレー・センターで「Etel Adnan」展を見た。


1925年にフランス占領下のベイルートで生まれた詩人でアーティスト、哲学者のエテル・アドナン(1925-)は、2012年に参加したドクメンタ(13)で突然世界中に知られるようになりました。パウル・クレーが書いた1960年代の日記を通してクレーを知り、作品とテキストに影響を受けました。叙情的でカラフルな絵画、大判のタペストリー、映像の作品でそのことが見て取れます。多文化環境で育った経歴や中東の歴史の影響は、特に文学作品のなかに投影されています。本展では、パウル・クレーとエテル・アドナンの作品の対話をご覧いただけます。」


名前だけは聞いたことがあるが、作家で絵本が有名らしいということしか知らなかった。上記では2012年に知られるようになったとあるがこれは絵画作品に限った話で、作家としては1970年代から有名だったそうだ。

エテル・アドナンで検索すると


Etel Adnan



展示は、第1にエテルの絵画作品、第2にクレーの絵画作品、第3にエテルのタペストリ、第4にエテルの制作映像、第5にエテルへのインタヴュー映像。

絵画作品はカリフォルニア教師時代からずっと描いていて、カンディンスキー、マレヴィチ、クレーに影響を受けたそうだが、2012年に突如有名になった。多数展示されていたが、クレーの影響はあからさま。普通なら、この作品はオリジナル作品として出展できないだろう。有名作家であることと、高齢であることで、許されたのではないか、という印象だ。

むしろ注目するべきはタペストリのほうだ。12点展示されていた。いずれも2メートル四方の大きなサイズ。というのも、絵画はクレーと同様にいずれも小さく、50センチ四方レベルなのに、タペストリは大きい。そして、模様も絵画よりずっと複雑で、手が込んでいて、クレーに影響を受けながらも独自に発展をしている。Sunsetという作品はなんと2018年の制作だ。93歳!? いやはや凄い。