瀬畑源『公文書問題――日本の「闇」の核心』(集英社新書)
同じ新書で『国家と秘密――隠される公文書』を書いた著者による最新刊。公文書問題の専門家と思っていたが、本来の研究テーマは戦後の天皇制だそうだ。
『時の法令』の連載を1冊にまとめたもので、公文書問題の基本を丁寧に、わかりやすく解説している。情報公開と公文書管理の重要性、特定秘密保護法の問題性、各論では豊洲市場問題、南スーダンPKO文書問題、森友学園、加計学園、そして国立公文書館新館建設問題、東京都公文書管理条例などを取り上げている。まさに安倍政権と小池都政の「闇」の核心が公文書問題である。
憲法の規定にもかかわらず「国民主権」が機能しない理由の一つが公文書問題にあることがよくわかる。政策決定や国民から遠い世界で行われる。公文書が隠蔽され、廃棄され、あるいは作成されないなどの事態により政策の事後検証がなされない。これでは民主主義が成り立たない。政治家と官僚による国家の私物化が自由自在にできてしまう。私物化の権化アベシンゾーの時代に事態はさらに悪化した。
ギゾー、ネツゾー、アベシンゾーの日本をいかに変えるか。それが問題だ。