8月7日午後、ジュネーヴの国連欧州本部で開催された国連人権理事会諮問委員会第21会期において、10周年記念セレモニーが行われた。
冒頭、事務局が準備した諮問委員会のプロモーションビデオが上映された。7~8分か。ありきたりの内容だが、なかなかよくできている。その後、委員たちの記念撮影。
そしてパネルディスカッションHow research leads to actionが開かれた。諮問委員会は人権理事会決議5/1に従って設置され、2008年8月に始まった。名前の通り人権理事会の諮問を受けて専門的調査・研究を行う。委員は世界各地から選ばれた18人の専門家で、多くは学者、弁護士、元外交官など。アジアからは5人で、そのうち一人は日本から。以前は坂元茂樹・関西大学教授、いまは小畑郁・名古屋大学教授。
これまでに保護者のない移住子ども、一方的強制措置と人権、地方政府と人権、テロリストによる人質、平和への権利、人権と国際連帯、ハンセン病差別などを取り上げてきた。現在は人種差別反対・ダーバン宣言の履行、国家政策と人権、禿鷹ファンドと人権、地域的人権機構などを議論している。
パネルでは小畑委員、コリアラーノ委員、パベル委員、イゲズ委員が発言。プロモーションビデオと違って、諮問委員会の限界について議論がなされた。諮問委員会の権限、組織などから、どうしても制約が大きいので、委員自身が疑問を提起していた。人権基準の設定という仕事はできていないと明言していた。ロシア、エジプト、ブラジル、イランが型どおりのお祝い発言をしていた。
今後に向けてのドラスティックな改善案は提起されなかった。諮問委員会で解決できることではなく、人権理事会決議5/1を見直す必要があるだろう。諮問委員会の権限を強化し、迅速かつより専門的に研究できるようにするべきだ。18人もの優秀な専門家を集めているのに、もったいない。
今回も政府は30数カ国しか出席していない193カ国の内30数カ国だ。かつての人権小委員会の時は常に100カ国以上が参加していた。NGOメンバーは10数人しかいない。去年の会期で発言したNGOメンバーは私一人だった。かつての人権小委員会では100人以上が次々と発言していた。ジャーナリストは全く取材に来ない。取材に値しないと思われている。
18人の専門家が5日間の会議をしている。給与、交通費、宿泊費、事務局、通訳を入れると1000万円はかかっている。それだけの仕事ができているだろうか。できるはずのない状況に置かれた委員は大変だろう。
昔は委員が自分の弟子の大学院生をたくさん連れてきた。東京大学やソウル大学の大学院生もいた。インターンでお手伝いをしていたのも院生が多かった。今はほとんどいない。委員も、自分の教え子に諮問委員会を見せたいとは思わないのだろう。
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La Licorne Pinot Noir Vaudois 2016.