パウル・クレー・センター夏の企画はCosmos Klee展。「パウル・クレーの世界」といった感じの初心者向け入門編の展示だ。夏休みなので、学生・生徒を連れてきて、これがクレーだよ、と教えるのに最適。
展示は16のブースに分けられて、約150点が展示されていた。
1 Hand Puppets 2 Colored
Paste 3 Reverse Glass Paintings
4 Early Oil Paintings 5 Oil Transfer Drawing 6 Goddesses
7 Angels 8 Nature 9 Scratch Technique
10 Late Work 11 Unregistered
works and Forgeries
12 Figure Groups 13 Textile picture carriers 14 Spray
Technique
15 Watercolors 16 Models
良かったのは、150点のうち、はじめて見る作品が30点くらいあったこと。
一番重要なのは、天使シリーズ(上記の7)を描いた時期に描いていた、子どもや人々の集団のスケッチ10枚(上記の12)、すべて初めて見た。天使シリーズは、1枚に1人の天使が描かれているが、集団のシリーズは、家族らしき人々、あるいは子どもたちが何人も登場する。天使シリーズと同じタッチで描いているので、天使シリーズだけを取り出してクレー批評をするのは適切でないと言うことがわかる。
従来の美術批評は、7だけを対象に「クレーの天使」を議論してきた。2つの点で不適切だ。1つは、前からわかっていることだが、1920年代に描いた天使と、晩年の1938-40年に集中的に描いた天使を区別せずに、一緒に論じる例が目立つこと。2つめは、今回わかったことだが、天使だけを取り出して論じることだ。圧倒的に多くの批評が天使だけを論じてきた。晩年の作品群全体の中で論じること、とりわけ天使シリーズと集団シリーズは密接なつながりがあるので、これらをきちんと位置づけること。
集団シリーズは現物を見るのも初めてだけど、写真でも見たことがない。とても重要な作品なのに、従来、全然議論されてない。今回も、カタログが発行されず、絵はがきにもなっていないのが残念だ。簡単なパンフレットしかない。
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パウルクレーセンターからの帰りは大変だった。4時にBern駅を出てFribourgでGeneve行きに乗り換え、ところがAllamandという小さな駅で突然停車して、全員下車。Rolleでの事故で電車が全面不通。Allamand駅は数百人がごった返し。アナウンスがなかなかないし、1回だけあったのはフランス語のみ。ダメだったらLausannneに戻ってホテルに泊まろうか、などと思案中、1時間ほどして振替えバスが2台だけ来た。運良くすぐ近くに止まったので2台目に乗れた。スゴイ競争率。Gland駅まで運んでもらって、GlandからGeneve行きの電車。Geneveについたのが8時10分。Geneve駅もものすごい人だかり。地面に座っている人がたくさん。Bernから100分の所、250分かかって戻ってきた。
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TENUTA MONTALBANO, Ticino, 2016