Thursday, August 23, 2018

Cosmos Klee展散歩


パウル・クレー・センター夏の企画はCosmos Klee展。「パウル・クレーの世界」といった感じの初心者向け入門編の展示だ。夏休みなので、学生・生徒を連れてきて、これがクレーだよ、と教えるのに最適。


展示は16のブースに分けられて、約150点が展示されていた。

1 Hand Puppets  2 Colored Paste   3 Reverse Glass Paintings

4 Early Oil Paintings   5 Oil Transfer Drawing   6  Goddesses

7 Angels   8 Nature   9 Scratch Technique

10 Late Work   11 Unregistered works and Forgeries

12 Figure Groups   13 Textile picture carriers   14 Spray Technique

15 Watercolors   16 Models

良かったのは、150点のうち、はじめて見る作品が30点くらいあったこと。

一番重要なのは、天使シリーズ(上記の7)を描いた時期に描いていた、子どもや人々の集団のスケッチ10枚(上記の12)、すべて初めて見た。天使シリーズは、1枚に1人の天使が描かれているが、集団のシリーズは、家族らしき人々、あるいは子どもたちが何人も登場する。天使シリーズと同じタッチで描いているので、天使シリーズだけを取り出してクレー批評をするのは適切でないと言うことがわかる。

従来の美術批評は、7だけを対象に「クレーの天使」を議論してきた。2つの点で不適切だ。1つは、前からわかっていることだが、1920年代に描いた天使と、晩年の1938-40年に集中的に描いた天使を区別せずに、一緒に論じる例が目立つこと。2つめは、今回わかったことだが、天使だけを取り出して論じることだ。圧倒的に多くの批評が天使だけを論じてきた。晩年の作品群全体の中で論じること、とりわけ天使シリーズと集団シリーズは密接なつながりがあるので、これらをきちんと位置づけること。

集団シリーズは現物を見るのも初めてだけど、写真でも見たことがない。とても重要な作品なのに、従来、全然議論されてない。今回も、カタログが発行されず、絵はがきにもなっていないのが残念だ。簡単なパンフレットしかない。


パウルクレーセンターからの帰りは大変だった。4時にBern駅を出てFribourgGeneve行きに乗り換え、ところがAllamandという小さな駅で突然停車して、全員下車。Rolleでの事故で電車が全面不通。Allamand駅は数百人がごった返し。アナウンスがなかなかないし、1回だけあったのはフランス語のみ。ダメだったらLausannneに戻ってホテルに泊まろうか、などと思案中、1時間ほどして振替えバスが2台だけ来た。運良くすぐ近くに止まったので2台目に乗れた。スゴイ競争率。Gland駅まで運んでもらって、GlandからGeneve行きの電車。Geneveについたのが8時10分。Geneve駅もものすごい人だかり。地面に座っている人がたくさん。Bernから100分の所、250分かかって戻ってきた。


TENUTA MONTALBANO, Ticino, 2016