望月衣塑子『新聞記者』(角川新書、2017年)
「空気を読まず、出すぎる杭になる。私にできるのはわかるまで質問すること」
武器輸出問題を地道に追いかけている記者だと思っていたら、菅官房長官の記者会見における見事な質問の連続で脚光を浴びた。いまや日本一有名な新聞記者かもしれない。
本書は、女優をめざした少女時代のエピソードから、新聞記者志望に変わってからの学生時代、留学時代を経て、待望の新聞記者としての人生を自ら語る。
東京新聞の千葉、神奈川、埼玉の各県警や、東京地検特捜部を担当し、日本歯科医師連盟事件、防衛省武器輸出問題、森友学園問題などで、市民のためのジャーナリストとしての活躍を振り返る。失敗談あり、スクープあり、悩みあり、両親の死、自身の病気・ストレスあり、それでも望月記者は駆け続ける。「質問しない多くの新聞記者」と違って。
「私は特別なことはしていない。権力者が隠したいと思うことを明るみに出す。そのために、情熱をもって取材対象にあたる。記者として持ち続けてきたテーマは変わらない。これからも、おかしいと感じたことに対して質問を繰り返し、相手にしつこいといわれ、嫌悪感を覚えられても食い下がって、ジグソーパズルのようにひとつずつ疑問を埋めていきたい。」