深沢潮を読む(9)結婚とは、家族とは
深沢潮『かけらのかたち』(新潮社、2018年)
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このところ高市首相の台湾有事発言などへの抗議を続けてきた。
12月6日の東京新聞こちら特報部
https://www.tokyo-np.co.jp/article/453810
12月7日、中国中央テレビ
12月9日、東京新聞こちら特報部
https://www.tokyo-np.co.jp/article/454626?rct=tokuhou
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『かけらのかたち』は深沢の第9作である。前作は本格的長編だったが、本書はふたたび深沢お得意のロンド形式に戻った。第1作の『ハンサラン 愛する人びと』以来、連作短編の形式で、結婚や家族について考えさせる。
「マドンナとガガ」に始まり「マミィ」に至る6つの短編を繋ぐのは、学生時代のテニス部のマドンナだった優子。テニス部時代の仲間たち、思い出、その後の20年以上の歳月、それぞれの夫婦の物語、子どもたちを、順次取り上げていく。今を生きる市井の人々の暮らし、意識が鮮やかに描き出される。
愛、友情、信頼、憎しみ、嫉妬が、ありきたりなのに、それぞれの夫婦や家族の形を織りなす。平凡な市民が抱える悩みが、人間の普遍的な悩みである。
おそらく深沢は年々、歳月を積み重ねる中で、このテーマとスタイルを追究し続けるだろう。