Friday, October 14, 2011

エントロピー学会編『原発廃炉に向けて』

エントロピー学会編『原発廃炉に向けて』(日本評論社、2011年)



http://www.nippyo.co.jp/book/5669.html



原子力学会は今年の総会で少しは反省のそぶりを示したようですが、エントロピー学会は一貫して反原発の学会です。4月23・24日同志社大学で開催されたシンポジウムの記録です。



エントロピー学会



http://entropy.ac/



「どなたでもエントロピー学会に入会できます」だそうで、よく言えば市民に開かれた学会、市民科学者の学会です。



本書は副題が長いのですが、「福島原発同時多発事故の原因と影響を総合的に考える」です。無故事を見てもわかるように、福島で何があったのか、何が進行しているのか、これからどうすべきなのかを、多角的に検討しています。8月の出版ですが、4月末のシンポの時点の情報に基づいていますから、今となっては古い部分もないわけではありませんが、全体としてひじょうに優れた内容だと思います。図版資料も充実しています。お勧めです。



はじめに/山田國廣



福島原発同時多発事故から何がわかったか/広瀬隆


福島原発で何が起こったか――原因と意味/井野博満


福島原発で何が起こったか――原発設計技術者の視点/後藤政志


東電・保安院などの事故対応の問題点/ 黒田光太郎


福島第一原発事故による放射線の健康影響/崎山比早子


福島第一原発事故による海洋汚染/福本敬夫


原発事故による土壌汚染を考える


 ――福島原発事故の原因と影響の総合的解明 の試み/山田國廣


飯舘村の放射能汚染調査に参加して


 ――足尾-水俣-福島:日本の公害の歴史から見えてくるもの/菅井益郎


原発廃炉の経済学――危険な低炭素言説の歴史的起源からからの考察/室田武


上関原発の工事中止の行方/三輪大介


パネルディスカッション原発廃炉に向けて/井野博満・黒田光太郎・後藤政志・菅井益郎・福本敬夫


三輪大介・室田武・山田國廣・和田喜彦


付表1 日本の原子力年表/和田喜彦


付表2 日本の原子力発電所一覧/和田喜彦