Tuesday, January 08, 2013

「下からの司法改革」えん罪原因調査第三者機関設置運動


日弁連えん罪原因究明第三者機関WG編著

『えん罪原因を調査せよ――国会に第三者機関の設置を』


 

9月に出た本を今頃ようやく読んだ。

 

<誤判もえん罪も昔の話ではない。警察は、なぜ捜査を誤ったのか。検察は、なぜ捜査・公判で誤りを正せなかったのか。裁判所は、なぜ「疑わしきは罰せず」の鉄則を忘れて警察や検察に追随したのか。もはや裁判所を聖域にしてはおけない。問題に正面から向き合い、えん罪原因を究明する独立した第三者機関の必要性を多面的に訴える。>

 

志布志事件、足利事件、東電OL事件などあいつぐ冤罪、大阪地検特捜部の証拠改竄事件などで、日本の捜査の在り方がひどいことが一般の人にも理解され始めた。冤罪原因の検証は日本ではまったく行われてこなかった。東京地検や最高検がおざなりの調査をしただけである。これではダメということで、福島原発事故と同様に、国会に冤罪原因究明の機関を設置しようという運動と理論の書である。

 

著者はみな知り合いなので推奨するのも気が引けるが、重要な本だ。

 

これまで代用監獄廃止、取調べの可視化、取調べへの弁護人立ち会いなどを求めてきた運動の次の課題として、ぜひ実現したいものだ。

 

「上からの司法改革」ばかり先行する現状に対する、「下からの司法改革」の提起としても重要だ。

 

目次

 

はしがき[西嶋勝彦]

特別インタビュー 周防正行監督に聞く
「僕があまりにもショックを受けた日本の刑事裁判の現状を皆さんに知ってもらいたい」

1章 “えん罪原因究明第三者機関”を考える――その必要性と要件をめぐって[指宿信]

2章 えん罪原因の解明から刑事司法の根本的改革へ[小池振一郎]

3章 日本版「えん罪原因究明第三者機関」はどうあるべきか[泉澤章]

4章 えん罪原因究明第三者機関設置をめぐる憲法問題[木下和朗]

5章 米イノセンス・プロジェクトの発展から見た日本の課題[伊藤和子]

6章 えん罪委員会の役割――誤判の発見、組織的改革またはその両方?[ケント・ローチ/髙倉新喜訳・菊地裕子協力]

7章 科学的証拠の強化が刑事司法の発展を促す[ピーター・ニューフェルド、サラ・チュー/徳永 光訳・菊地裕子協力]

[
資料]
1
 えん罪原因調査究明委員会の設置を求める意見書
2
 えん罪事件一覧表(解説・西嶋勝彦)

執筆者・訳者紹介