Saturday, January 03, 2015

平和を求める沖縄の闘いに学ぶ

山内徳信『解放を求めて――アリの群れライオンを襲う』(沖縄タイムス社)

読谷村長、沖縄県出納長、参議院議員を歴任した著者からいただいた著書をお正月に読んだ。1935年に読谷村に生まれ、10歳で沖縄線を経験し、琉球大学で歴史を学び、高校教師となった著者は、1974年、請われて読谷村長になった。基地被害を受け続けた読谷で、日本政府と米軍を相手にした不屈の闘いが始まる。
プロローグ 常に住民の視点で
第1章     若者を再び戦場に送らない
第2章     戦後処理を求めて奔走
第3章     村民ぐるみの反基地闘争
第4章     読谷飛行場の中に役場庁舎建設
第5章     人間性豊かな環境・文化村づくり
第6章     豊かな農村社会の発展をめざして
第7章     県政・国政の場で「沖縄問題」を訴える

不発弾処理場返還、読谷飛行場、P3Cアンテナ基地、NBC訓練やパラシュート降下訓練阻止、野球場建設、村役場建設、文化村づくり、地場産業発展を経て、大田県政時の出納長及び参議院議員として基地押しつけに抗する闘いを続けた著者。その人生を回顧した本書は、沖縄現代史であり、自治と平和を求める市民運動史であり、いままさに激化している沖縄差別との闘いである。プロローグは、2013年1月27日、オスプレイの配備撤回を求める沖縄・東京行動から始まる。東京・銀座を歩くデモ行進に投げつけられた罵声は「売国奴」「琉球人は日本から出ていけ」だった。沖縄に対する構造的差別が長期にわたって続き、いまや日本社会が露骨に堂々と沖縄差別に精を出す。あらゆる差別と抑圧を受けてきた沖縄は踏みとどまり、闘いぬく。アリの群れはひるまず、諦めず、ライオンを襲い、巨象を倒す。その先頭に著者が立ち続ける。怒りを込めて、祈りを込めて。