Tuesday, June 02, 2015

ヘイト・クライム禁止法(91-2)スウェーデン

(91)で、2012年に作成されたスウェーデン政府の報告書を紹介したが、人種差別撤廃条約第四条(a)については前回報告書以後変化はないとされていた。前回報告書(CERD/C/SWE/18. 7 May 2007)を紹介する。
第四条(a)について、国民的民族的集団に対する煽動は刑法第一六章第八節で禁止されている。メディアにおける表現の自由は、憲法、プレス自由法、表現の自由基本法によって特に強く保護されている。国民的民族的集団に対する煽動の犯罪は、憲法で保護されたメディアにおいて処罰される犯罪のリストに含まれる。民族的集団を保護する刑罰規定は、新聞やテレビなど憲法で保護された、メディアで行われた場合にも適用される。
第四条(b)の団体禁止については、二〇〇〇年、議会の委員会は、犯罪活動の従事する組織への加入や支援を犯罪としないことには理由があるとした。世論は議会に賛成した。しかし、人種主義活動に従事する組織は、法に違反することなしにその活動を続けることはできない。その組織の活動は法律によって対処される。組織を通じて行われる人種主義言明の流布は、国民的民族的集団に対する煽動に関する規定によって処罰される。組織内での流布も同様である。
一九九六年、最高裁判決はナチスのシンボルや人種主義的意見の表明を行った国民的民族的集団に対する煽動についての有罪判決によって判例法理が形成された。

組織的に行われた場合を含む、犯罪の共謀、予備、未遂、共犯は、刑法第二三節に従って処断される。犯罪が組織的に行われた場合は刑罰を加重できる。