「<共同声明>杉田水脈氏は衆議院議員にふさわしくありません」の閲覧制限(Change.org)についての声明
2025年1月18日
「<共同声明>杉田水脈氏は衆議院議員にふさわしくありません」呼びかけ人
1 はじめに
私たちは2024年10月7日にオンライン署名「<共同声明>杉田水脈氏は衆議院議員にふさわしくありません」(以下「共同声明」)を立ち上げました。その際、Change.orgのオンライン署名を利用しました。
ところが、10月10日夕刻、この署名はChange.orgによって閲覧制限の対象となり、アクセスできなくなりました。
私たちからの問い合わせに対して、11月5日、Change.orgから回答がありました。
私たちのオンライン署名・共同声明は、10月10日夜に目的を達成したため、アクセス制限の影響は大きくはありませんでした。
しかし、同様の事態が今後も生じる懸念がありますので、私たちの見解をChange.orgにお知らせするとともに、公開することにしました。
一番のポイントは、私たちのオンライン署名は、「選挙運動」でも「落選運動」でもないことです。以下でご説明します。
Change.orgからの11月5日の回答は次の通りです。
こんにちは
日頃より、Change.orgのオンライン署名を積極的にご活用くださり、誠にありがとうございます。
皆様が立ち上げられた署名 [https://www.change.org/p/490237922] について、社内で検討した結果についてお知らせいたします。
先日実施された衆議院議員選挙の期間中、日本の法律を遵守するため、皆様の署名を含む一部のコンテンツが一時的に制限されていました。
衆議院議員選挙が終了しましたので、弊社プラットフォームで皆様の署名を再び公開する手続きを進めさせていただきます。
皆様の署名活動が多くの方々に届くことの重要性は私たちも理解しておりますが、弊社では各国の法令を遵守するよう努めております。その旨何卒ご理解いただけますと幸いです。
ご不明な点がございましたら、ご連絡ください。
今後とも、Change.orgをよろしくお願いいたします.
以上がChange.orgからの回答です。
3 事実経過
10月4日、ダーバン+20:反レイシズムはあたりまえキャンペーンというグループの実行委員の会議参加メンバーの話し合いで、自由民主党に杉田水脈氏を公認しないように申し入れる署名運動・共同声明を始めました。
というのも、自由民主党山口県連から杉田水脈氏を比例中国ブロック候補とする公認申請が出されたことが報道されました。
民族や性的指向などの属性を標的として差別発言と名誉毀損を繰り返してきた、レイシズムの塊のような政治家が何一つ反省することなく、選挙に出馬することを放置しておいてよいのかと考え、共同声明の取組みを始めたのです。
10月5日、共同声明文案を起草し、6~7日に呼びかけ人を募りました。
10月7日夜、オンライン署名(Change.org)を呼びかけました。
10月10日までに1万筆を超える賛同を頂きました。
10月10日午前に自由民主党本部にEメールで共同声明の申し入れをしました。
10月10日午後に参議院議員会館会議室で共同声明をアピールする集会を開催しました。
10月10日夕刻、共同声明が報道されました(例えば、「共同通信ウェブサイト」10月10日付<「杉田水脈氏に議員の資格なし」 研究者ら、公認しないよう声明>)
10月10日夕刻、Change.orgのサイトで、共同声明は「一時停止」の扱いとなりました。Change.orgのサイトには下記の説明が表示されました。
「このオンライン署名は審査中です。このオンライン署名はサイト上での公開が停止されています。ポリシーチームによるコミュニティガイドラインへの違反の有無が審査されています。その結果に基づきページ公開の再開または停止継続が決定されます。今しばらくお待ちください。」
10月10日夜、自由民主党は杉田水脈氏を公認候補としないことが報道されました。
10月15日、衆議院議員選挙が公示されました。
10月27日、衆議院議員選挙の投開票が実施されました。
4 要請行動と選挙運動の相違
Change.orgの11月5日付回答は「先日実施された衆議院議員選挙の期間中、日本の法律を遵守するため、皆様の署名を含む一部のコンテンツが一時的に制限されていました。」「弊社では各国の法令を遵守するよう努めております。その旨何卒ご理解いただけますと幸いです。」としています。回答は「日本の法律」とするのみで、どの法律のどの条文に違反するのかを明示していません。
私たちの共同声明は、日本の法律を遵守しており、いかなる法令にも違反しません。日本の法律を遵守するため、私たちの共同声明が一時的に制限される理由はありません。
衆議院議員選挙の期間中に関連する法律は公職選挙法です。衆議院議員選挙に関わる選挙運動及び落選運動は、公職選挙法に従って行われる必要があります。
公職選挙法第129条は「選挙運動の期間」として「公職の候補者の届出のあつた日から当該選挙の期日の前日まででなければ、することができない」と定めます。公職選挙法第130条以下は選挙事務所、地位利用による選挙運動の禁止、戸別訪問の禁止、署名運動の禁止等を定めます。
公職選挙法第138条の2は「署名運動の禁止」として「何人も、選挙に関し、投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人に対し署名運動をすることができない。」と定めます。
以上に照らすと、第1に、共同声明は、「選挙運動」に該当しません。選挙運動の期間は「公職の候補者の届出のあつた日から当該選挙の期日の前日まで」と明示されています。今回の衆議院議員選挙の公示日は10月15日でした。
第2に、共同声明は、「選挙運動」やその「署名運動」に該当しません。共同声明の主眼は、「自由民主党に杉田水脈氏を公認候補としないよう要請」することです。「投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人に対し署名運動」ではありません。
第3に、共同声明は、いわゆる「落選運動」としての「署名運動」にも該当しません。落選運動は、「投票を得しめない目的をもつて選挙人に対し署名運動」を意味します。共同声明は「自由民主党に杉田水脈氏を公認候補としないよう要請」するものです。
第4に、共同声明には、「上記のような杉田水脈氏のこれまでの言動をしっかりと認識して、投票行動の判断をするよう有権者の皆さんに提言します。」という一文があります。これは選挙人に投票行動の判断を主体的に行うよう呼びかけるものであって、「投票を得しめない目的をもつて選挙人に対し署名運動」に該当しません。
なお、公職選挙法第138条の2が禁止しているのは「署名運動」であって、落選運動そのものは禁止されていません。仮に選挙運動の期間中であっても、落選運動は法律に違反することなく取り組むことができます。
5 おわりに
以上のことから、私たちの共同声明は法律に違反するものではありません。選挙期間以前にオンラインでの呼びかけ・署名運動を行うことは表現の自由として憲法第21条の保障を受けます。
それゆえ、特定の人物を政党の公認候補とするよう要請することや、公認候補としないよう要請することを目的としたオンライン署名運動は自由にできることです。
今後、同様の署名運動、共同声明を準備・実施する際に参考にしていただけたらと考えます。
以上